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2008年4月19日 (土)

MAMA

紅玉いづきは寓話作家である。ライトノベルとして書かれているのは確かだが、実のところライトノベルの重要な要素であるキャラクターを、重視していないのだはないかと思うのだ。
また、物語を組み立てていくストーリーテラー型の作家でもない。伏線やコンフリクトを話の中に配置し、表現していくという面が弱いように思うのだ。

ではどこに創作のモチベーションがあるのかというと、勝手な想像だけれど、現象/想い/ムード/世界観といった在りようそのものではないか、と思う。だからこそ寓話である、と自分は感じたのである(もしかしたら言葉の使い方を間違っているかもしれないが、許されよ)。

だから、作中日本と思しき東洋が登場し、世界観表現が混乱(自分はするように読んでしまった)してもあまり気にしてはいない。またクライマックスまで一直線でオチもまるわかりであってもそれを隠そうともしない。
しかし、それが作品の強力な魅力になっているのもまた事実である。

自分の書きたい気持ちを(物語というオブラートに必要以上に包まないで)そのまま作品にしているという点で非常に稀有な才能だと思う。これが今後どのように「作家」として変わっていくのか、はたまた変わらないのか、楽しみである。

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