« 2008年3月 | トップページ | 2008年5月 »

2008年4月19日 (土)

南極1号伝説 ダッチワイフからラブドールまで-特殊用途愛玩人形の戦後史

ラブドールにはかなり前より興味があったのだが、やはりアダルトグッズとして位置づけられており、なかなかに観たり触れたりする機会はないわけだ。第一、情報もないし(もっとも最近はネットでそれなりに知り得るが玉石混合の情報を取捨選択していくのはけっこう面倒だし)、己の探究心を満足させることがなかなかにできていなかったのである。

あ、とりあえず見苦しい言い訳をしておくが別に欲しいとかいうわけではなく、純粋に(いろんな意味で)どんなもんかなぁ、という興味である。

これまでも雑誌やTVなどで、たまに取り上げられることもあったが、それは人形そのものというよりは、そのコレクター(の奇行)に視点があたっていることがほとんどで、それはそれで面白いのだけれど、結局オタクバッシング的文脈であり、それはちょっと違うだろ、と思っていたわけだ。

というわけで、本作は、より人形そのものに対して焦点を絞り込んでおり、ダッチワイフ史の概括や、製作工房のインタビューなど、かなり自分の知的痴的好奇心を満足させてくれた。
ただ、全体的に表層を網羅した分、さらっと流れてしまっている感じもあり、できるならもう少し深いところまでつっこんだ(いや、そういう意味じゃなくて)内容だとより興奮できたのだけれどなぁ、とも思う。
もし続編リポートがあるのなら、現象面だけではなくサイエンス面も補強してもらえると非常にうれしいところである。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ←CLICK!

南極1号伝説 ダッチワイフからラブドールまで-特殊用途愛玩人形の戦後史 Book 南極1号伝説 ダッチワイフからラブドールまで-特殊用途愛玩人形の戦後史

著者:高月 靖
販売元:バジリコ
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | トラックバック (1)

美術の核心

日本人は無類の印象派好き。その命題に対してなんらかの答えが欲しくて読んでみたわけだが、まあ判ったような判らなかったような結論。結局、主観でしかないのね。自分としてはもっと歴史的背景や心理学的要素とか民族論とか、客観的な検証がなされた解答が(まあそれとて仮説にしかならないのだとしても)知りたかったのだが、美術史研究においてはそういう文脈で整理されることはないので、しかたがないのかなぁ、ないものねだりだったのかなぁと思いつつ、個人的にはさらに追求していきたい命題ではあるので、深く静かに調査していきたい。

で。本自体は、読みやすい初心者向けの美術指南となっていて、かなり面白かった。自分は(自分で云うのもナンデスガ)それなりに経験値があるつもりだけど、細分化されたジャンルにおいては知らないこともあり、また知っていても表層的な知識であったりで、その再確認ができるという点でも、非常によかったなぁと思うのであった。

できれば、より深く学びたい人に向けた参考図書の紹介があればなおよし、かなぁ。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ←CLICK!

美術の核心 (文春新書 614) Book 美術の核心 (文春新書 614)

著者:千住 博
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | トラックバック (1)

淫牝

自分が信用しているR18マンガ家のひとり、ひぢりれいの最新作。ではあるが中身は過去未収録の作品集となっており、エロ的興味よりは、絵柄の大いなる変遷をざくっと観ることができた面白さのほうが強かったなぁ。
過去のバタ臭い絵柄が、最近の萌えシロの多いそれにどうやって変化していったのかということが、時系列で一気にみると、「あ、ここらへんを強化していったか」とか「こういう表現に興味がシフトしていったのね」とか、けっこうわかるものである。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ←CLICK!

淫牝 淫牝

販売元:楽天ブックス
楽天市場で詳細を確認する

| | トラックバック (0)

MAMA

紅玉いづきは寓話作家である。ライトノベルとして書かれているのは確かだが、実のところライトノベルの重要な要素であるキャラクターを、重視していないのだはないかと思うのだ。
また、物語を組み立てていくストーリーテラー型の作家でもない。伏線やコンフリクトを話の中に配置し、表現していくという面が弱いように思うのだ。

ではどこに創作のモチベーションがあるのかというと、勝手な想像だけれど、現象/想い/ムード/世界観といった在りようそのものではないか、と思う。だからこそ寓話である、と自分は感じたのである(もしかしたら言葉の使い方を間違っているかもしれないが、許されよ)。

だから、作中日本と思しき東洋が登場し、世界観表現が混乱(自分はするように読んでしまった)してもあまり気にしてはいない。またクライマックスまで一直線でオチもまるわかりであってもそれを隠そうともしない。
しかし、それが作品の強力な魅力になっているのもまた事実である。

自分の書きたい気持ちを(物語というオブラートに必要以上に包まないで)そのまま作品にしているという点で非常に稀有な才能だと思う。これが今後どのように「作家」として変わっていくのか、はたまた変わらないのか、楽しみである。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ←CLICK!

MAMA (電撃文庫 こ 10-2) Book MAMA (電撃文庫 こ 10-2)

著者:紅玉 いづき
販売元:メディアワークス
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | トラックバック (0)

2008年4月13日 (日)

職人ワザ!

最近とみに文化的アイデンティティに対するこだわりが出てきた。だから日本の文化に対する興味や同意についてはかなり思い入れと思い込みがある。筆者いとうせいこうもいかなる意識の変遷があったのかは知らないけれど、ここ最近の日本文化へのコミットぶりについてはかなり強いように思う(同傾向としては南原清隆とかね)。てなわけで、本作はそういう人にとってはかなり面白い内容であるといえよう。と、他人事っぽく書いてみたが、ようは自分が相当に楽しんだんだよ、ということである。
個々のエピソードで描かれる職人の仕事に対する意識のありようはどれもかっこよく、自分もこうありたいものよと思うのだが、付け焼刃じゃあなかなかああはいかないねぇ。

最近、人の話を聞くということに対しても意識的に取り組まないといけないなぁと思っていたこともあって、インタビュー文のありかたについてもかなり参考になった。まあ、根本的な部分で自分は他人に興味がないってのが致命的なんだけれど(ダメジャン)。

それにしても手ぬぐい。うらやましいなぁ。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ←CLICK!

Book 職人ワザ! (新潮文庫 い 39-5)

著者:いとう せいこう
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | トラックバック (0)

2008年4月 9日 (水)

ようこそ無目的室へ!

作者がやりたかったことがあまりにもわかりやすくて、読んでいるこちらが照れちゃいました。

自分はミステリーを読んでいていつも疑問に思っていたのだ。なぜこんなに人が死ぬのだ、と。もっと普通の生活の中に「謎」があっていいのではないか。そんな中で北村薫などが「日常の謎」というジャンルを開拓し、ひとつの答えを出したのだけれど、しかし自分は、それすら違うのではないか、日常の謎がイコール情の物語になっていることに対して、もっと思考実験的でもいいのではないか。と思っていた。(あ、もちろんハードなミステリーが嫌いなわけではない)

よくよく自問してみると、なんのことはない自分の理想のミステリーとは「黒後家蜘蛛シリーズ」であったということだ。些細な謎に、ヒマ人たちがあーでもないこーでもない、と解釈をつける。便宜上、それらしい回答を設けはするが、しかし本質的にはどれが答えでもいい。なぜなら思考実験すること自体が目的だから。そういうミステリーが好きなのであった。

というわけで、本作。それはもうあからさまに黒後家蜘蛛を意識している。なんたって藍座市に霜府高校だからね。まあ、単純にミステリーとして読むと、謎もその回答も非常にゆるく甘すぎるぞ、というところなのだけれど、無目的室というぬるま湯部活な雰囲気がけっこう楽しいので、それで相殺してもいいかな、と思った。話のさげの一言もけっこうキレイで小粋な感があって、自分は好感触を持ったしね。こういうものいーんではないでしょうか。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ←CLICK!

ようこそ無目的室へ! (HJ文庫 あ 1-2-1) Book ようこそ無目的室へ! (HJ文庫 あ 1-2-1)

著者:在原 竹広
販売元:ホビージャパン
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | トラックバック (0)

2008年4月 6日 (日)

上司の哲学

上司かくあるべし、ということを判りやすい実体験を元に書いてある。1時間程度で読みきれるが、それでおわり、というような読み方をするのではなく、たまに読み返して気持ちを改めるというのがあるべき読み方だと思う。実際、書いてあることを常に覚え続けているなんて無理な話だしね。

こういう社会人啓発本ってちょっと胡散臭いもので、この本も若干そう思わないでもない(特に松下嫌いの自分にとっては)が、しかしそういうひねた読み方をしない人が伸びるんだろうなぁ。きっと。

上司だけじゃなく、部下も必読。と、とりあえず薦めてみる。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ←CLICK!

上司の哲学―部下に信頼される20の要諦 (PHP文庫) Book 上司の哲学―部下に信頼される20の要諦 (PHP文庫)

著者:江口 克彦
販売元:PHP研究所
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | トラックバック (0)

« 2008年3月 | トップページ | 2008年5月 »