閉じられた世界 絶望系
これはひどい。ライトノベルの形をとったアンモラルな妄想小説だ。いや、もちろん誉めているのだけれど。
登場人物皆、人として正しくなく、己の業と妄想に自家中毒し、一見他者とかかわっているようにみえる物語の中で、実はただ自己の主張を垂れ流すのみの一方通行の断絶っぷり。セックスすら、他人の肉体を使ったオナニーでしかない。そこには愛(イコール他者と対等に向き合うこと)などない。そんなドロドロとしたナニカを天使や死神にかこつけて物語っぽく語ってみた。という野心作にして問題作である。
ひどいなぁ、と思いつつ、もちろん一気に読むことを楽しんでしまえたのは作者の文章力によるところも多い。その確信犯的なルサンチマンがどれだけの人に受け入れられているのだろうか、それは気になるところである。
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絶望系 閉じられた世界 電撃文庫 (1078)
著者:谷川 流,G・むにょ |
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