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2008年2月 4日 (月)

ちょこッとsister(1)~(8)

基本的に男の願望充足ストーリーというヤツはDTルサンチマンの放つドロドロとしたリビドー感が嫌いなのだ。その初源は「うる星」であろうし、それを先鋭化させた作品が「女神さま」だと、自分は認識しているのだけれど、これらはけして男本位ではなく、意思を持つ生身(的)な相手があって成立していた。が、そのフォローアーは、より妄想的に男の欲望に都合のいい女性しか登場しなくなり、物語ではなくなっていく。そんな縮小再生産過程を経て今があるのだ。と思っている。自分はそんな設定に居心地の悪さを感じ、だから嫌だなぁと思うのだ。

(というわけであらかじめ云っておくとアニメのほうは全然観てません)

で、本作。基本的には上述のDT系マンガなのではある。しかも女っ気溢れる下宿というあまりにも判りやすい先行作品のエピゴーネンさである。本来ならば、自分はこれを否定するはずなのだ。が、しかし。面白かったのだ。けっこう本気で読み込んでしまった。

それは多分、登場人物が主人公に都合のいい存在ではなく、それぞれが、悩み、想い、生きている、という実にあたりまえなことを丁寧に描がかれているせいだろう。それは本来当然なのだけれど、この手の物語においては出色である。まあ主人公がモテスギだよ、という歪んだ根本原理までを崩すことまではできていないが、ここまでしっかり描かれていれば十分でしょう。

もうひとつはそんな恋愛模様だけではなく、トリックスターであるちょこの存在が友情をはじめとするさまざまな純粋さを描く基点として機能していることだろう。

あまりくどくどと解釈するつもりはないが、そんな人々の生活が過不足なく(といいつつ最終章の従兄弟編までは要らなかったかもしれないのだけれど)描かれており、そこにこの作品の魅力があるといえよう。

と、書いてはみたが、実のところ絵柄のよさに助けられているということもあるのだ。丁寧に、可愛らしく、そして適度にエロティックに描かれており、観ているだけでけっこう楽しめる。まあ、あえてツッコミをいれるならば、若い巻では巧みに乳首などを直接的に表現しないよう抑制されていたのが、後半、遠慮も恥じらいもなくバンバンみせちゃっているのが、トゥーマッチな感じではあったりするのだけれど、それはそれでよし。

てなわけで、食わず嫌いはいかんなぁ、と思った次第である。

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