精霊探偵
ホラー(オカルト)的設定の体裁ではあるが、実際は外宇宙侵略モノ、集合生命体型でしかも精神生命体のエイリアンと、思いきり古典的でコテコテのSF。そんなストーリーを、ホラーテイストでパッケージングしているのは、SF離れ著しい客受けを考えてのことなのか、はたまた単純に先行作品とのバリエーションとするためか、そこらへんはよく判らないが、ともあれ、そんなそんな設定ゆえガチャガチャした感じの仕上がりになっている。
読む人によって捕らえ方は様々ではあるのかもしれないが、自分はこれはスラップスティックだなぁ、と思うのだった。もしかすると感動叙情系なのかもしれないが、自分はそのようには読めなかった。
実際のところ、(最近の)カジシン作品はどれもこのようなテイストなのだけれど、一般的にはやはり泣けるホラー作家(@黄泉がえり)なのだろうか。
ともあれ、そんな感じの作品なのだけれど。今回、クライマックスの叙述トリックによるどんでん返しもそこそこに驚かされたし、けっこう楽しんで読むことができた。ラストの余韻の潔くなさも、これがバカSFであるということを前提に読めば納得できるだろうし、こうして深く静かにSFは浸透していくのであったということだろう。
精霊探偵 (新潮文庫 (か-18-9))
著者:梶尾 真治 |
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