夜を守る
まあ石田衣良作品の常として、基本的に水準はキープしているわけで、読んで大きな不満というものはない。エンタテイメントとして十分、楽しむことができた。
ということを前提にして、だが、物語の設定としては、ストリートの素人トラブルシューターの物語という構造となっており、IWGPと大差ないだろう。つかず離れずに組関係なども絡んでくるところも同じっちゃ同じ。違いといえば、マコッちゃんたちが非合法すれすれのハードボイルドな戦い方をみせるのに対し、アメ横ガーディアンズたちは「無理をしない」というところにあるだろうか。もちろん、それは素人たちの戦い方としては実に真っ当で、なるほどな、と思うところではある。そして、そのような差異を設定することで、他作品との違いをつくろうとしているのか、とも思う。
ただ、ここまで似通っている(わけでもないのだけれど)物語であるのであれは、読む側としてはいっそハードボイルドであってくれよ、と思わないでもない。であるが故に、隔靴掻痒の気分は否めない。ということなのだ。
まあ手の早いストーリーテラーとしては、どうしても似た傾向の作品を書くことも多くなるであろうし、色付けの工夫もあるので、読み手の勝手な希望をいうつもりはないけれど、なかなかに、ね。難しいですね。
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夜を守る
著者:石田 衣良 |
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