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2008年1月22日 (火)

夢をかなえるゾウ

面白いといえば面白いのだけれど、いわゆる「物語」というとらえ方で読むべきではない本だなぁ、というのが直感的な感想である。

ストーリーの構造が、起承転結というクライマックスに向けて何らかの盛り上がりをみせ、そして大団円、という動き方ではなく、主人公と神様の(ネタ的には突拍子もないが)フツーの生活があって、そして別れがあっておしまい、という、(悪い意味ではなく)なんとも平坦な日常的非日常が描かれているのである。
類似的に考えるとドラえもんやオバQのように、突然現れた異人との共同生活というモチーフなのだろう。描かれるべきは二人の相棒的な関係である。だから前述の類似例と同様、個々日常の中でのエピソードはあっても物語としてのダイナミックなうねりはない。結末らしい結末は単なる別れだけであり、一抹の寂しさと余韻が肝となる。そういう物語であるのだ。

そんな全体構造の中で、本書の個性となっているのは、神様ガネーシャの強烈なキャラクターである。関西弁ということもあるのだけれど、ぱっと思いついたのは松本人志なのであった。いかにも彼が言いそうなアホな発言の連発で、なるほど、これは小説というよりもコントなのだろうと思うわけだ。ここでいうコントとはその場その場のシュチュエーションを基点として笑いを重ねていくということだが、そう考えると、「物語」としての脆弱さも頷ける。

笑いのガジェットとして日々の課題があるのだけれど、これがまたいちいち胡散臭く、しかしヘンに説得力があるのが可笑しいわけだ。作者はこの点をかなり作為的に笑いシロ誘導するよう書いており、なるほどウケるためのテクニックを活かしているなぁと思う。

そんなわけで、これをファンタジー小説として単純に読むと正直浅いなとは思う。しかしファンタジー色の強いシシュエーションコントとしては実に楽しい。ラストの余韻がホロリとさせ、終わりよければすべてよしという気にさせられてしまう。作者のテクニックにまんまと乗ってしまった訳だ。

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