ミステリクロノ(2)
単純に濃度でみるならば、本作はかなり薄味なのではなかろうか。時間操作機械は登場するが、それがドラマとの連動する組み込み度合いが弱く、今回のエピソードの導入役程度でしかない。また、物語自体も二転三転するようなものではなく、一本調子であることは否めない。
というのは、ガジェットとしてのミステリーとしてみた場合の感想で、本作の謎とは基本的には叙述トリックなのである。まあ、かなり判りやすいので、決着点もかなり早い時点で推測できてしまうので、叙述ミステリーとしても甘めであるのだけれど。ただ結末において、さらなる真相(なのか想像なのかはわからないが)が明らかにされ、思ったよりもビターなエンドとなっており、なるほどなぁ、と思うところはあった。
本質的に(新)古典的なミステリーを志向している作者である。あまり早書きせずに、じっくりと煮つめた作品を発表していってくれるといいな、と思う。
ミステリクロノ 2 (2) (電撃文庫 く 6-8) 著者:久住 四季 |
| 固定リンク
最近のコメント