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2007年12月11日 (火)

銀星みつあみ航海記 LOG.3

シリーズ完結。というか打ち切りだったのだろうか? 詳しい事情はよく判らないが、そのせいで今回はかなり先を急いで物語が進んだような気がする。後半部、バタバタと収束し、ちょっと慌しい。そのかわり前半部の設定提示に半分くらいページを割いており、そういった語り口のペース配分は、ちょっと雑かな、と思う。まあ、でもそれが重大な問題ではない。面白ければいいのだ。

とりあえず総括すると、明朗快活で波乱万丈なスペオペとしては、そこそこ成功している部類であったといえるだろう。キャラクターもいきいきと動いており、コンフリクトも重すぎず軽すぎず、速度感を持って物語をすすめるのにはちょうどよかったのではないか。

反面、トラブルの解決策については、あっと驚く新基軸などはなく、読み手の推測の範囲内で判ってしまい、そこらへんが凡庸にみえないでもないのはマイナスであった。例えば、本巻での水流システムなどは誰でも簡単に思いつく発想であり、物語を進める上でのハードルに対する思いもよらぬ解決策とは云い難い。もっとも、そのようなアイディアをこれだけの早い発刊ペースで考えろというのは酷な話であり、まあ割り引いてみてもいいのだろうとは思う。

これまでも何度となく云っていることだが、スペースオペラという活劇の本来は、擬似未来戦史ではない。国間の戦争を宇宙という場に移しただけの軍事ヲタクの妄想ではないのである。その点において、本シリーズは(微妙にかすってはいるが)、未来の世界の冒険を描いているといえ、そこが非常に重要なポイントであったし、自分が評価している点でもあった。
しかし、どうやら、現在の読者ニーズにおいては、戦史的なもののほうが受け入れられる傾向なのかもしれない。それはあるいがシミュレーションゲームの影響なのかもしれないし、単に、SF冬の時代をいまだ引きずっているだけのことかもしれない。いずれにせよ、超常能力バトルや妖魔退治といった現在のライトノベルのメインストリームではない、分野の小説はあまり求められていないのだろう。
SFの底辺を支えるべきパルプなSFは、日本においてはやはりダメなのかなぁ、アニメやマンガでの絵の持つ力を活字で代替することはできないのかなぁ、と思うのであった。

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