絵描きの植田さん
絵本というふれこみなのに全然挿絵がなく、それにしては紙質もいつもの新潮とは違っており、これはいったいどういう意図かと思いつつ読み進んだのだが、そうでしたか、そういうことでしたか。
シンプルに描かれた絵は、ただの挿絵などではなく、物語と密接に結びついており、正直してやられたと思った。
物語はいしいしんじらしい、寓話調のスタイルで語られる、ひと冬のささやかな出来事/奇跡である。悲劇的に進むのか大団円となるのか、途中まで、いやクライマックスまで判断できず、内心ドキドキしていたのだけれど、とりあえずよかったなぁ。
絵描きの植田さん (新潮文庫 い 76-6) 著者:いしい しんじ |
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