ツァラトゥストラへの階段
またもゲームの物語である。まあライトノベルというジャンルでは影響を及ぼしあう同業他社として、ゲームというものは切っても切れない関係としてあるため、多かれ少なかれライトノベルはゲーム的要素を含んでいるのだが、この作者のように、ゲームシステム自体を直接的に取り込む作品は実はそんなに多くはない。
マンガで云えば「カイジ」や「ライヤーゲーム」などといった作品はあるが、やはり数としては多くなく、システムとプレイヤーという関係を対象とするのはレアなのだろうと思う(もっともマージャンなどの既存のシステムをそのまま用いる作品は多いが、それはシステム自身への興味とは違うように思うのでここでは別のものと考えたい)。
さて、今回も基本的にはゲームであり、その点では新鮮味に欠けるともいえる。ただし、前シリーズでの訳も判らず投入された物語とは異なり、自ら望んで参加するというありようが異なるといえはそのとおりである。前作は映画「キューブ」により近く、本作は上述の作品群に近しいというところだろうか。自分としては、けっこう楽しんで読んでしまったので、特に今のところ不満はない。今後の展開が楽しみであるとだけ、今はいっておきたい。マンネリせずに上手くパッケージを閉じてもらえれば、と思う。
ところで、作中に本作が「扉の外」シリーズの前史的ポジションなのかと思わせるような設定があるが、個人的にはそれはやめておいたほうがいいように思うなぁ。
ツァラトゥストラへの階段 (電撃文庫 と 8-4) 著者:土橋 真二郎 |
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