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2007年11月20日 (火)

クダンの話をしましょうか

※注意! 物語の謎に触れる記述があります。

面白いといえば面白い。ただし若干の違和感もないわけではない。
叙情的な印象の物語ではあるのだけれど、そこに快楽的要素に基づく自殺教唆という悪意が平然とあり、作品としてのバランスを欠いているように感じたのだ。全体を覆う雰囲気はクダンという哀しいさだめを負う者と人間との出会いと別れといういかにもウェルメイドな設定に相応しい展開であるだけに、後半のそれはいかにも不自然な印象なのである。
おそらくそれは作者自身意識してはいないのではないだろうか。ライトノベルだから、というと色眼鏡で見てしまっているような書きぶりになってしまうが、このジャンルは比較的そういう物語のムードパッケージングが弱いように思う。それは現実的にはどうなのか、という検討よりも、先行となるマンガやアニメやラノベなどの同業他社的作品群の描く世界をベースにして書かれ、結果、架空に架空を重ね縮小再生産の中で現実との乖離がより顕著になっていく。そういう構造が往々にして見受けられる。
だからラノベはいかんということではなく、そういうつくりの作品が楽しい場合もけして少ないわけではない。ただ、もっと書きようによっては、おさまりがよくなるのになぁと思う場合もあるのだよ、ということがいいたいわけだ。

本作においては、前述の殺伐感がもっとこなれていればクダンの哀しみが浮き彫りにされ、よりエモーショナルに泣ける話になったのではないかなぁ、と思ったわけである。

それにしても牛人間のクダンを少女として描いてしまうという設定には実はビックリなんですよね。まあその点については思ったよりもうまく(?)処理されてこれまたびっくりなんですが。

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