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2007年11月 5日 (月)

理由あって冬に出る

学校を舞台とするミステリーは、良作になることが多いような気がする。それは、主人公達が学生であり、ゆえに若者ならではの悩みや成長が物語と表裏一体となるからではなかろうか。逆にみれば、それらがないと、舞台を学校に設定する必然がなく、物語としてフツーのミステリーでしかないことになってしまうということである。もちろんフツーのミステリーであって悪いというわけではない。しかし、いい意味での「若さ故の過ち」を抱えた学生達の物語は、それだけで十分に魅力を持っているのだ。いわんやミステリーにおいて。である(もちろん買いかぶりすぎである)。

さて、本作。なんともまあ健全で清清しいことか。謎はそんなにトリッキーでもパズラーでもなく、また日常の謎系というほど日常にどっぷり漬かってもおらず、軽妙である。登場人物たちもまた適度にエキセントリックで愛すべき者たちばかり。構造としてはきっちりと名探偵役が存在し、助手役が語り手で、といったホームズタイプのミステリーで、正直、あまりにも奇をてらわない王道、というか直球な設定にすごく新鮮味を感じてしまった。
ミステリーでもあるが、部活小説(より厳密に云えば部活棟小説か?)ともいえるだろう。

個々の展開については、本作の真相に言及することになってしまうのでここでは語らないが、中盤あたりで明かされる解答とその語の展開については、ちょっと泣けた。現実社会からすればそれは幻想かもしれないけれど、ささやかな夢くらいみても罰は当らないよね。

ところで、本作を読んでいて感じたのだが、本作が設定的にも展開的にも実にライトノベル的な構造になっているにも関わらず、明らかに一線を隔している感覚があった。よくよく考えると登場人物に対する具体的な描写(例えば、ショートヘアで、とか、メガネをかけていて、とか、小柄だけどグラマーな、とか、いかにも萌シロ励起する記述。もちろんこれは男子についての描写もそう)が、ない。ところどころ描かれる手がかりから想像するしかない。つまりキャラクターに頼らない物語であり、また、そのくらいは文中から読み取れるでしょ、という意気でもあろう。でも本来、小説における登場人物ってそういう存在だと思うのだ。そして仮に萌えるとしても、この程度の情報量で十分だとも思う。昨今のライトノベルは安易に萌シロを提供しすぎているのかなぁ、とそんなことも考えてしまうのであった。

いずれにせよ、本作はお勧め!

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