スケルトンキー
いかにも雑なのである。
ひとつはストーリー構築。めるくめくスピーディな展開であることをもってご都合主義的大雑把であることのエクスキューズにはならないわけだが、まあティーンズ向けだし刹那的に面白ければいいじゃんというような安易な妥協が感じされるのだ。小さいエピソードの数珠つなぎで、全体を大きくまとめ上げきれていない。例えば、秘密小道具の設定も作中どっか一箇所で用いられるだけに終始し、全体を通してのここぞという場面での活躍はない。つまり単に面白そうだから登場させてみただけ、という風にしか読めないわけ。
もうひとつは文章力。これは翻訳の問題なのか、あるいは外国作品だからなのかもしれないが。視点の統一がなく、今ここで誰がなにを考えているのかが雑。上記のとおりの構成力の曖昧さも相まって、なんか稚拙なのだ。
勢いだけはあるので、とりあえず惰性(失礼!)で読んではいるものの、正直このまま付き合うかどうかは微妙だなぁ。
スケルトンキー (集英社文庫―少年スパイアレックス・シリーズ (ホ9-3)) 著者:森嶋 マリ,アンソニー・ホロヴィッツ |
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