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2007年10月29日 (月)

幽霊列車とこんぺい糖

もっと叙情派ファンタジーかと思ったら、まったくの大違いで、トラウマ囚われまくりの登場人物たちが悩み苦しみまくる鬱屈した話であった。そしてだからこそ面白かったともいえるのだ。

近親関係者との関係性の欠落によるジェンダー特有の悩みを主眼としており、卑近な見かたで読むと、近親愛と同性愛の成就による自己解放の物語となっている。まあ(「マリ見て」のような楽天的な)単なる百合小説ではないが、個人的にはタナトスと常に隣り合わせの危うい生というものについてはかなりシンパシーを感じずにはいられず、そう意味において、本作はリアリティ(現実的という意味ではない)があると思うのだった。

物語の決着点として死に至らなかったのはライトノベルとしての最低限のモラルであったのかもしれないが、せめてもの救いを描くための(ご都合主義的)必然ではあろう。そのくらいの幻想は必要だし、そうでなければ重過ぎる。

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Book 幽霊列車とこんぺい糖―メモリー・オブ・リガヤ (富士見ミステリー文庫 67-3)

著者:木ノ歌 詠
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『幽霊列車とこんぺい糖―メモリー・オブ・リガヤ』 (富士見ミステリー文庫 67-3)作者: 木ノ歌 詠出版社/メーカー: 富士見書房発売日: 2007/10メディア: 文庫 感想書こうとすると、ネタバレになりそうだなあ。 ミステリーではないにしても、いろいろと登場人物に謎というか秘密があって、主役級のふたりのそれが、話が進むにつれて、すこしづつ明らかになる。飛び込み自殺をしようとした(ただし、廃線になっていて挫折)中学生と、芸術家の少女。二人の夏が始まる。 読まないと意味が判らないサブ... [続きを読む]

受信: 2007年11月10日 (土) 23時19分

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