藤村・嬉野 本日の日記 2002年7月~2003年3月
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ストーリー上の季節は春の進級という変化はあるが、物語としては大きな変動もなく登場する人物がそれぞれ日々の中で少しずつ成長していく姿をゆっくりと描いているというのが本巻である。これまでの小学生と教師の恋愛感情という扇情的な部分をとりあえず置いておくとすると、さしあたりビルドゥングス的なタッチもあり、けっこう真摯な読み方もできるのであった。
もっとも、(いろんな意味で幼い愛情の交錯は)いかがわしいのはいかがわしいのであって、そりゃまずいだろうと思わずにはいられない。半分羨望の思いも込めて。
個人的には宝院先生推し推しなので、誰も手を出すなよ! と2次元に対する無駄な横恋慕的感情を秘めつつ読んでいたりするのだけれど、今回、だんだんと大胆かつ壊れていっているような感じもあって、やっぱり教師っていろいろ鬱屈するから私生活は極端になってしまうのかしらん? と妄想を暴走させたりするのも、自分としては問題だなぁと自戒してはいる。
しかし、一見許容されているように描かれてはいるものの実際にはDTに対してキビシイスタンスですよね。絶望した! 男の純情を否定する世の中に絶望した!(あ、これは違うマンガだったか)
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こどものじかん 4 (4) (アクションコミックス) 著者:私屋 カヲル |
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もっと叙情派ファンタジーかと思ったら、まったくの大違いで、トラウマ囚われまくりの登場人物たちが悩み苦しみまくる鬱屈した話であった。そしてだからこそ面白かったともいえるのだ。
近親関係者との関係性の欠落によるジェンダー特有の悩みを主眼としており、卑近な見かたで読むと、近親愛と同性愛の成就による自己解放の物語となっている。まあ(「マリ見て」のような楽天的な)単なる百合小説ではないが、個人的にはタナトスと常に隣り合わせの危うい生というものについてはかなりシンパシーを感じずにはいられず、そう意味において、本作はリアリティ(現実的という意味ではない)があると思うのだった。
物語の決着点として死に至らなかったのはライトノベルとしての最低限のモラルであったのかもしれないが、せめてもの救いを描くための(ご都合主義的)必然ではあろう。そのくらいの幻想は必要だし、そうでなければ重過ぎる。
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幽霊列車とこんぺい糖―メモリー・オブ・リガヤ (富士見ミステリー文庫 67-3) 著者:木ノ歌 詠 |
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相変わらず、いや、これまでに輪をかけてゆる~んでぽよ~んなバカ小説になっています。どこがゆる~んでぽよ~んなのかは云いませんが、みんなの大好きなアノ部分ですね、きっと。
あとがきに作者が書いていたことから思うと、今巻は大きな物語は一切動いておらず、ただひたすらにオバカか日常/非日常を愉しむだけを目的としているといえるでしょう。それもまたよし! きょぬーもひんぬーもどっちもよし! モロもチラもどっちもよし!! (個人的嗜好)てな感じで、品行方正なPTA(パンティ&トランクス、アソシエーションの略ですか?)からはお叱りを受けそうな内容ではあるが、いいじゃないですか? ライト(?)艶笑譚として大いに愉しめば。
この作品の面白いところは、実は地の文にある。一見三人称にみえるが、実は神の視点という一人称で書かれているのだ。だから、登場人物に対して、直接ツッコンだりするし、逆にツッコマレたりする。神の視点というよりは、ナレーション(ちび○子ちゃんにおけるキートン山田のような存在?)といえば判るだろうか? もっと云えば、その地の文自体も、ですます調とだある調を使い分けており、神視点と作者視点が異なっているという点も考察していけるのだが、それはまた後日。
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オオカミさんとマッチ売りじゃないけど不幸な少女 (電撃文庫 お 8-10) 著者:沖田 雅 |
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面白き事は良き事なり。まさに至言!
(さほどに読んでいるわけでもないのだけれど)森見作品の中ではもっともファンタジー色が強く、またもっともDT色が薄い作品である。なんたって、狸と天狗と人間のお話だもんよ。そら、そうなるわな。
ここで描かれるのは家族の物語である。スラップスティックコメディではあるけれど、根底にある家族のつながり(生きていても死んでいても、だ)がしっかり描かれているため、単にバカバカしいだけではない読後感がある。
特に最終章に向けての大暴走的ドタバタ劇は、森見ならでは。大笑い。
実のところ、あまりにももったいなくて章を読むごとに、別の本をサンドイッチ読みしちゃったのだけれど、この本に関しては一気呵成に読む事をお勧めする。と書くまでもないか。
次巻が楽しみである。
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有頂天家族 著者:森見 登美彦 |
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この作家、実に語り口が上手い。面白い。虚言と諧謔に満ちた一人称で、かなり捻くれているにも関わらずテンポがよいし、なるほど、と思うところも多い。もっともかなりクセのある文体でもあるので、もしかすると好き嫌いがはっきりするところなのかもしれない。
という文章で語られる謎。体裁としてはミステリー。前作は叙述トリックによる加害者と被害者の物語になっていたが、今回はいろいろ変奏しつつもせんじ詰めると、実にシンプルな犯人探しであった。その良し悪しは個人個人によって異なるのだろうなぁと思うが、少なくとも自分は楽しめた(もっとももうひと捻りあってもよかったんじゃないのかなとも思わないでもないが)。
そもそもこのシリーズは、シリーズ向けの設定ではないのだと思う。キャラクターで読ませる話でもなく、また引き継ぐべき謎も特になく、いったん物語として完結してしまっている。それが前作の構造であり、それを、あえて2冊目に持ち込んでいくというのは、正直どうなのかな。と思わないでもない。まあ、それはライトノベルにおけるひとつの宿命でもあろうかと思うし、前作にそれなりの評価があったことの査証でもあろうし、作者の技量のスキルアップにもいくばかの貢献もあろうし、けしてマイナス面ばかりではないのだろうけれど、それにしても、ねえ。
ともあれ、ライトノベルとしては異色のシリーズとなってしまった(子供の死体とか登場しないでしょ?普通は)ので、それはそれで、次回作(できれば別の物語のほうがいいけど)を期待するのであった。
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ホームズもののオマージュ作品は世の中にごまんとあるわけだが、これはそんな作品群の中でどのような位置づけにあるのだろうか。ぶっちゃけ、ホームズという名を冠する必然性はない。まあ主人公が逃げ回らなければならない理由、そして才能の根拠(説明理由)を、懇切丁寧に作中で積み上げなくても、読者に対する説明が簡単にできてしまうというメリットはあるのだけれど、それだけが理由というのはちょっとどうかと思う。もっとも今後、シリーズが進む中でどのように根幹に関わってくるのか、ホームズである意味を描かれることもあるだろうし、この件についてはそれをもって判断したい。
さて、それはそれとして、本作。ビクトリア朝(?)時代のライトなミステリーとして、普通に楽しんで読めたのだった。まあ、推理という面が弱いので、推理小説というよりは、冒険小説といったほうがよいのかもしれないが、それもまたよし。ティーンズ向けとしては成功している部類ではなかろうか。続編が楽しみではある。
それにしてもマイクロフトの設定はひどいなぁ。
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エノーラ・ホームズの事件簿―消えた公爵家の子息 (小学館ルルル文庫 (ルス1-1)) 著者:杉田 七重,ナンシー・スプリンガー |
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いかにも雑なのである。
ひとつはストーリー構築。めるくめくスピーディな展開であることをもってご都合主義的大雑把であることのエクスキューズにはならないわけだが、まあティーンズ向けだし刹那的に面白ければいいじゃんというような安易な妥協が感じされるのだ。小さいエピソードの数珠つなぎで、全体を大きくまとめ上げきれていない。例えば、秘密小道具の設定も作中どっか一箇所で用いられるだけに終始し、全体を通してのここぞという場面での活躍はない。つまり単に面白そうだから登場させてみただけ、という風にしか読めないわけ。
もうひとつは文章力。これは翻訳の問題なのか、あるいは外国作品だからなのかもしれないが。視点の統一がなく、今ここで誰がなにを考えているのかが雑。上記のとおりの構成力の曖昧さも相まって、なんか稚拙なのだ。
勢いだけはあるので、とりあえず惰性(失礼!)で読んではいるものの、正直このまま付き合うかどうかは微妙だなぁ。
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スケルトンキー (集英社文庫―少年スパイアレックス・シリーズ (ホ9-3)) 著者:森嶋 マリ,アンソニー・ホロヴィッツ |
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感想はスケルトンキー(↑)にまとめて書きます。
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ポイントブランク (集英社文庫 ホ 9-2 少年スパイアレックス・シリーズ 2) 著者:アンソニー・ホロヴィッツ |
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帯の惹句に騙された!
さて、なにがダメだったのかを羅列してみると。
この作品は大雑把に括ると、ライトノベルの王道のひとつである「部活小説」である。部活小説の基本コンセプトは、部活動という枠に集う奇人変人達の面白おかしい暴走(と成長?)にあるといえる。この点に関しては、若干の不満(後述する)もあるが、概ね外れてはいない。基本的なアイディアは悪くはないのだ。ありがちではあるけれど、キャラ主導型で活き活きと動き回るスラップスティックコメディとするには相応しいと思う。
だが、問題は、登場人物たちが活き活きと動いているのかという点。これが全然ダメで、書き割り調ともステレオタイプとも違う、なんだか説明がつかないけれど「活きてない」という状況なのだ。とにかく書けてないという印象しか残らない。若書きなのだろうか。
その一環でもあるが、文体が古臭い。これまたどこがどうと説明できないのだけれど、なんかもったりとして重たいのだ。今日びの小説は(内容にもよるけれど)もっと軽快だと思う。特に本作のようにライトなコメディを基調とするのだらばなおさらそうであるべき。
実は読んでいて、田中芳樹のもたつきに非常に近いように感じた。あえて説明しなくてもいいようなことまで書いてしまうとか、ギャグがギャグになっていないとか、杓子定規に律儀すぎて場の雰囲気を壊す、しかも自分はそれに気づいていない。そういう人っているでしょう? そういう感じ。垢抜けないことおびただしい。
これは好き好きなのだろうが、妙にポリティカルな書き方が散在している。つまり陰謀史観というか、政府や企業はみんな悪で、その巨悪を正義を主張する主人公たちが退治するという構図だ。そういうのってヘンに正義ぶった偽善というか、青臭いというか、粋じゃないというか、ようするにダサい。少なくとも自分はそういう作話に対するスタンスは受け付けられな。確かに悪者をやっつけるという構図自体はいいのだ。けれど、それが常に役所や巨大企業にあり、自分達は虐げられており、それに対応すべき。という仕組みはいかにも一面的で、過剰な被害者意識による遠吠え的な印象しか感じられない。小説で憂さを晴らしている負け犬作家みたいな感じがとっても嫌いなのだ。正論吐いてればいいってもんでもない。ここらへんも田中芳樹のダメさに非常に似通っている(この作家は、たぶん、好きなんだろうなぁ)。自分としては、真逆の親和性であり、必然的にこの作品との相性も悪いんだろうと思う。
実はこれが一番ダメなところなのだけれど、科学研究所を名乗っているくせに、全然科学していないのだ。科学する心とは、物事を客観的に見つめ論理的に分析し、結論を導き出していくこと。その結論に至る道で、論理の飛躍とパラダイムシフトが描ければ、そこにセンスオブワンダーが生じるのだと思う。もちろん、これにマッドな要素が加われば最高に楽しい知的冒険になる。しかし、本作にはそれがない。科学研究所というサークルである以上、物語としてこのサークルが大活躍するという構成上、科学とはなにか、疑似科学ではない暴走するマッド科学とはなにか、そのことに対する真剣な意思が感じられない。あるいは、幽霊という存在に対する仮説が一応それにあたるのかもしれないが、そのことに対する仮説を理論的に論旨展開せず、そういうもんがあるという前提で話が進む。結局、科学的ではないのだ。そこに知的冒険はない。
事程左様にツメの甘い内容で、ああ、失敗したなぁ、という読後感であった。
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マドカの科学研ゾンビ先生、母校に帰る (TOKUMA NOVELS Edge) 著者:野中 亮 |
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いいですなぁ! 微笑ましい!
いや、話自体はどーってことないんですよね。ありがちと云えば実にありがち。でも、軽快な語り口で、展開に無理がなく、かつ適度にハイテンションな高揚感もあって、よい。悩んだり笑ったりという高校生活のグラフィティなのである。
構成として上手いのは、ドラマと現実の二重構造で語られる3人の関係のキビンにあると思う。ばかっぷるぶりと、それを見つめる親友。それが裏返しになる架空の物語。本当はフィクションなのに、現実の気持ちが重なって、ぎくしゃくしてしまう。これぞ青春! いいじゃんね!
まあ、その決着については、あまりドラマチックにすったもんだすることもなく、意外とあっさり解決してしまうのだけれど、それもまたよし。文章力といっていいのかわからないけれど、その結末の核となるキーワードが、あのようなフォントであることに、かなり泣きツボをつかれてしまいましたよ。そしてラストの一行についてもね。
そんなわけで、このシリーズかなり気に入っています。3年生となる次作もありそうなので、かなり楽しみです。
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学園カゲキ! 2 (ガガガ文庫 や 1-2) 著者:山川 進 |
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いよいよ話が動き始めてきたね。面白い。河合センセイの基本は「なんちゃって(微)熱血」であり、勝負や対決なんちゅー展開と、それに対する、本気で(でもちょっとズレた)ノーテンキでバカな(褒め言葉)部員たちの右往左往にある。てなわけで、今回、とりあえずのライバルとどーでもいい対決が明確に設定され、それを中心に話がまわっている。畢竟、物語として大きく動き出す。登場人物たちも活き活きと動き出す。そういうことなのである。
次巻が楽しみである。
しかしね。路上パフォーマンスのくだりが今回のメインで、かなり面白かったのだが、あれって、「書」じゃなくて、大喜利だよな、と思ったら、案の定、三浦先生に一括されていたのがおかしかったね。
それと、そのパフォーマンスの舞台ですが、藤沢駅北口ペデね。自分が高校んときの通学路でしてね。いやもう懐かしいのなんの、全然変わってない。いや、今も近所なんですがね、よほどのことがないと藤沢なんかに行かないもんね。という個人的ご当地マンガとしても落涙です(笑)。
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とめはねっ! 鈴里高校書道部 2 (2) (ヤングサンデーコミックス) 著者:河合 克敏 |
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シリーズ3作目。相変わらず家族の物語なのである。冒頭から、思いきりマコッちゃんのモノローグのようなはじまりかたではあったが、全体的には石田伊良的文体は弱くなっていたかなぁ、とも思う。物語が、たわけモノの父というトリックスターが出現したことで、スラップスティック的要素が増したせいかのかもしれない。
物語としては、軽いようで重い設定で、その決着のつけ方も実はすっきりと割り切れるものではない、スイートビターなテイスト。もっともこのシリーズ自身、スカッとさわやかな大団円を用意していないので、確かにそういう終わりしかないだろうなぁとは思うのだが、ちょっと切ないところではある。
まだ続けてもらいたシリーズではあるのだけれど、しかしこの作者の別の物語を読んでみたいという気持ちがかなり強くなってきた。
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世界平和は一家団欒のあとに 3 (3) (電撃文庫 は 9-3) 著者:橋本 和也 |
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ハードカバー時から気にはなっていたが、なんとなく手を出しそびれていた一冊(2冊だけど)であった。この度、文庫化したということで、満を持して、ここぞとばかりに、心置きなく、マストバイ。
まあ、内容はね。ご存知のとおり。ひねたパンダさんと青年(帯には少年って書いてあるけれど間違いだよね?)の、めくるめくボヤキと止めどもないボケツッコミの応酬である。オフビートな笑いが心地いいというか、脱力というか、そんな感じ。好き嫌いが出るようなアクもないので、さらっと読めば誰でも愉しめる内容である。でも毒は満載だけど。
シンプルな構造故、一気に読めてしまうのだが、しかしなんとなく一話一話ゆっくりと愉しんだほうがいいような気がする。そういう趣旨において、ネット連載という媒体はかなり正しいように思う。
個人的には、強がりをいったあとで急にテレルパンダさんが好きだなぁ。
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やさぐれぱんだ 1 (1) (小学館文庫 さ 5-1) 著者:山賊 |
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やさぐれぱんだ 2 (2) (小学館文庫 さ 5-2) 著者:山賊 |
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普段ならこういういかにもな感じの作品は避けるところなのだけれど、なにげに評判がよかったので読んでみることにした。結論から云えば、表紙とあらすじだけで判断しちゃいけないよね。であった。つまり、面白かったということである。
おそらくはネタとしては、セーラー服と機関銃のそれであるということは誰もが想像つくところである。その組長が小学生であるってところが本作のミソとなっており、その萌え点によって成立している。なんて書くとそれっぽいのだけれど(つーかどーせそんな感じのチャラい話なんだろうなぁ、と予断したせいで読み遅れていたわけだが)、あにはからんや、まんまの置き換えではなかった。
まず組長は、すでに組を背負って立つ覚悟があり、その才覚もあるという設定になっている。だが、それだけだと話が転がらないわけで、では物語の推進力はどこにあるのかというと、主人公であるところの借金で身売りされた主人公がそれにあたる。一見普通の高校生だが、ゲームの才がありそのせいで組を助けることになる。という感じ。まあ、ライトノベルや少年マンガにおける王道の展開ではあるのだけれど、過不足ない文章力のせいだろうか、萌えにも燃えにもいいスタンスをとってヘンに寄りかかっていないせいで、読んでいて気持ち悪くないというところがよい。
たぶん、その文章力と展開の無理のなさが、本来ならば美少女に必要以上にモテモテというDT妄想小説色を薄めているのだろう。
というわけで本作についてはけっこう、かなり、好印象。ただし、こういうフロックはそうそうないだろうなとは思うので、この手の作品はやっぱ避けがちにはなるんだろうな。
(といいつつ組長のツンデレっぷりにヤラレタだけだったりして。自分)
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くみちょ!―組長は小学4年生 (集英社スーパーダッシュ文庫 し 3-1) 著者:白川 晶 |
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のんびりゆっくり続く平凡な日々という名の大冒険。相変わらず面白いっす。
ちょっとがっかりなのは、2学期が始まったせいか、風香の出番が減ったことか。そうでもない? まあその分、類は友を呼ぶ的変人ちゃんのしまうーが新たに登場ってことですか。
しかし、あれだね。一推しふーかってのは変わらないんだけど、子供にしれっとヘーキな顔でウソを教えることのできるアサギやミウラには、その人生のスタンスとして憬れるですねぇ。
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よつばと! 7 (7) (電撃コミックス) 著者:あずま きよひこ |
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今までの悶々としていた関係が一気に解決した今巻。だから冒頭からもう甘甘な展開である。いや、もう、あれですよ。晴れて恋人同士になった二人がはじめての旅行に、とか、そういう一歩先に進む日のドキドキバクバクな感じが、すんごく表現されていて、実に微笑ましくも羨ましい。でもって、そっけなくいったん別れるところなんかも実にこう、ね、萌えますよ、読んでてこっちが恥ずかしくなるって。
今回の嚆矢は、ロザリオの誓いのあと、祥子と別れた後の祐巳と瞳子のやりとり。ドリルにあんな科白云われちゃあね。さすがツンデレプリンセスのドリルだけある。
まあ、話自体は、卒業間近ということもあり、そもそもが祥子×祐巳の物語ということもあり、祥子メインで進む。自分は祥子はあまりコナイので、その展開についてはまあ普通にストーリーとして楽しんでいるわけですが。
ところで、本シリーズであるが、概ね10年くらい続いていることになるのだね。自分自身はここ数年のフォローなのでそんなに厭世の感もないのだけれど(しかも大人になってから読み始めているし)、当初から読んでいる読者でしかもティーンで読み始めている人は今は、20代も半ば位だろうか? 読んでいて思ったのだけれど、文体などが、ここ最近のラノベブームに影響されてか、軽く(云っちゃえば子供っぽく)なっているように感じるのだ。なもんで、10年間読み続けている人、しかも子供から大人へ成長していった時期の読者にとっては、そこんとこどんな印象なのかなぁということが、興味深くあるのであった。
もっとも、今の読者は、後からフォローしはじめたお友達で、初期から読み続けるような読者なんかいないのかもしれないけれどね(んなことないか)。
ともあれ、そろそろシリーズ完結の方向もみえてきたような気がする。それが楽しみでもあり不安でもある。
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マリア様がみてる 薔薇の花かんむり (コバルト文庫 こ 7-55) 著者:今野 緒雪 |
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神の視点で仕掛けられたゲームに否応もなく巻き込まれた者たちの物語という基本フォーマットは今回も同様であった。ただしバーチャルシューティング系ということもあり、ゲームとリアルという面がより前面に出てきている。それが逆に、ストラテジックなゲームに如何に対処したのか。という物語から、単にアクション小説的になってしまったきらいがある。まあ全巻同じようなテイストというのも芸がないので、これはこれでありなのかもしれないが、硬質的なアイディアが独創であったと思っているので、そこらへんはやや違うかなとも思う。
で。シリーズとしての完結なのだが、結局、謎の解明についてはほのめかしに終始し、曖昧なままであった。まあしかしそれはそれでいいだが、今巻のエンディングが、シリーズとしてのエンディング、つまりこれまでのエピソードすべてを包括するものになっていないのは残念であった。
結局、今巻限りの主人公がどうなったのか、ということでおわりにしてしまったところがその違和感につながっているのだ(しかもその主人公が策におぼれるいけすかないタイプなんだけど、それはまあ物語の出来不出来とは別の問題か)。ヘンにすべての謎を解き明かし、ハッピーにせよバッドにせよ、彼ら全員に対して何らかの決着をつけようとするのは大変だし、ありきたりなネタばらしになってしまうかもしれない。で、そのようなおわりにしかできなかったのかもしれないけれど、だったら、2冊目以降は繰り返しにしか過ぎなかったということになってしまい、1冊だけで終わらせたほうがよかったのかなぁ、という気がする。
いずれにせよ、独創力はそれなりに感じたシリーズではあったので、次回作に期待するところである。
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扉の外 3 (3) (電撃文庫 と 8-3) 著者:土橋 真二郎 |
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シリーズ全体を通しての謎(あるいは伏線)の収束がはじまったな、という感じ。物語としてはいよいよ最終局面を迎えようとしているところ。本巻はそのための諸々の仕込み的要素が強く、故にワンイベントとしての起承転結はあるのだけれど、お話のおわり、という感じではない。まあ、そうなってしかるべきだし、それを声高に云うほどでもないか。
あと数巻といったところだろうか。終着が楽しみである。
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アンダカの怪造学 7 (7) (角川スニーカー文庫 185-7) 著者:日日日 |
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前作が、主人公の職業ビギナー成長物語として面白かったので期待していたのだが、読後の感想としては、ちょっと予想していた内容とは違っていたなぁ、であった。けして作品の出来がよくないということではなく、もちろん楽しめたことは楽しめたのだけれど、作品としての焦点が「成長」ではなくなったことと自分が読みたかったことの齟齬は否めなかったのである。
本作の中核にあるのはイリーガルヒーローズたる「とどろきセブン」にあり、彼らが如何にして暗躍したか、ということにある。この小説の面白いところはそのメインである主役たちを中心に物語を書き進めるのではなく、あくまでも仮の主人公高木クンの視点で話が進み、彼は結局、物語が終わっても「とどろきセブン」の存在に全然気づかないということにある。そんな物語構造が面白みではあるのだけれど、やっぱりこういう物語であるのならば、セブンの活躍をもっと書いてほしかったなぁ、と思わずにはいられない。
警察機構でガンバル話がすでに食傷気味な中、(「木更津」しかり)イリーガルな物語に取って代わるのはしかたのないことだろう。登場人物が規格外であることでキャラ立ちがはっきりし活き活きとした物語になるということもあるだろう。であるならば、その路線に一気にシフトしてもよかったのではないかなぁ、と思うのであった。
でも、それはあくまでもおねだりの部分であって、娯楽小説として完成度は高いのはいっておかねばならないのである。
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駆けこみ交番 (新潮文庫 (の-9-35)) 著者:乃南 アサ |
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ノーテンキでお気楽な(半分)ハードSF、今回も絶好調。さしあたって、アハハと読めばいい物語なので、文句はない。
3つの短編と1つの中編という構成は、連載分とのカップリングによる製作サイドの事情ではあるが、シリーズモノの1冊としては、実にいい感じなのかもしれないなと思った。ワンアイディアでキャラクター主導型のちょっといい話としての短編。そしてSF的に食い足りない分を中編で補完するという、萌え好みにも燃え好みにもどちらにも対応できているっちゅーことですね。
さて。自分がこの物語に求めているのはSFの部分なので、もちろん面白かったのは中編のほうなのだが、しかし生身での大気圏突入ってのには、ちょっと奇想天外すぎるような気がした。もちろん科学考証があってのことでもあるし、物語としても面白いし、これでいいんだろうけれど、なかなか実感するってのは難しい。
それはもしかしたら、安直に大気圏に突入してしまって燃え尽きてしまったザクの記憶が鮮烈だからなのかもしれない(と書くと、ウケねらいの感想のようでしょ。確かに半分はねらってるんだけど、意識として大気圏の怖さを感覚的に判らせられたのはアノ作品だったように思うのだ)。
とりあえず、これでこのシリーズの在庫分は尽きたわけだが、しかし活き活きとしてバランスのとれた作品なので、できれば細々と続けていってほしいと思う。
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