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2007年9月 6日 (木)

天使が堕ちた街

ライトノベルというジャンルは大なり小なり先行の作品の影を感じることが多い。かなり多い。それは、○○のような話を読みたい/書きたい、という両者の共犯的構造による再生産であるという査証に他ならないわけで、それがジャンルとしての閉塞感を生み出している遠因ともいえよう。自分としてはそれを全否定するつもりはまったくなく、繰り返し語られることで強化/純化/進化が起こる。そして宝石のような一作が生み出されることもある。そう考えている。

そのような視点からすると、本作はライトノベルではないのだろう。引用する先行作品は、ライトノベルでもアニメでもマンガでもないからだ。しかし明らかに引用はされている。なにからか、というと、それはハリウッド映画である。それもアクション系のそれだ。(その証拠にライトノベルのもうひとつの特徴である萌えキャラが一切出てこないというポイントもあるのだが、そのことを掘り下げるのは今回はやめておく)
ハリウッドの映画制作スタイルは、まあいろいろあるが、定石をパズルのように組み合わせて物語がシステムとして生み出されているというのはある程度常識といってもいいだろう。本作はそんなシステムによって組み合わされた物語をライトノベルとしてまとめたものといってよいだろう。いや、それは正しくない表現か。ハリウッドシステムによって作られた話のような物語を書き上げたということだ。それは作者がハリウッドアクションが好きで、そんな物語を書きたいという思いをまとめ上げたというべきなのだ。
ライトノベルというジャンルからみればそれは非常に新鮮で、そういう切り口もあったのかと目鱗であった。

ただ、逆に映画(やその元ネタとなる凡百の数多の作品群)からみた場合、けっこうステレオタイプで、かつネタ元がわかりやすすぎる気がする。作者自身、あとがきで「ブレードランナー」に言及しているわけだが、自分としてはむしろ(ベスタ-原作のではなく映画の)「デモリションマン」だな、と思った。それに「ダイハード」や無数の類似作品のアクションをミクスチャすると、ストーリーがやや大雑把でツメの甘いところも含めてこんな感じになるのだろうと思う。

ただけして失敗作だとは思わない。プログラム作品として及第点だと思う。むしろ映像で観てみたいとそう思う。

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