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2007年9月19日 (水)

やどかりとペットボトル

池上はエッセイも上手いなぁ。と素直に感嘆した。
特に前半の幼少時のはなしが、どれも面白い。エッセイというよりは、ショートショートを読むような味わいで、実によかった。そういう観点からいえば、エッセイが上手いのではなく、やはりストーリーテリングが上手いのだ、ということなのかもしれないが、ともあれ、いいはなしを読んだなぁと単純に楽しんだのであった。

エッセイとショートストーリーの差はなんだろうと思うと、それは物語であるのか主張であるのかの違いなのだと思う。中盤以降、沖縄という地の持つ様々な課題提起を行なっているエッセイは、これはこれで面白かったりするのだけれど、それは冒頭のものがたりを読んだという読みごたえではなく、個人的にも好きな沖縄について考えさせられたという興味深さによるものである。フィクションでもドキュメンタリーでもない、エッセイというジャンルの書き方は千差万別あっていいが、それがものがたりとして面白くなることは、けっこう希少であるように思う。だからこそ、どうせならそういうはなしを書いていってほしいなぁ、と思うのであった。

といいつつ、しかし、自分が一番笑った/楽しんだのは、新聞に掲載された世間に毒づく偽悪的なエッセイ。ひねくれていて独善的。そして加害者意識と被害者意識の絶妙なバランスによって、実に爽快。まあ全編そんな感じだと、いい加減にしてよと思うかもしれないけれど、2つっきりでは足りないな。もっと噛みついてよ、なんてね。

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