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2007年8月16日 (木)

ミステリクロノ

新シリーズは、実にライトノベル的なガジェット/テーマの物語となった。失われた魔法のアイテムを探すために突然現われた天使。それに協力する主人公。アイテムの設定によって描きだされる謎と、アイテムの能力ならではの解決/冴えたやりかた。さらに淡い恋模様もあいまって、まあなんとも、これぞライトノベル(の一翼)だなぁ、と思うのであった。

本作のみに関して読んだ場合、やはりこの作家はミステリーという形式にこだわっているのだなぁ、と思った。いや、本質的には、物語を構築していく上でミステリーという形式でしか考えられないというべきだろうか(物語を生み出すための定式は個々人で違うし、それが作品の個性でもあるので、よいとか悪いとかいう類の区別ではないのは云うまでもないだろうが)。
ここでいうミステリーの形式とは、どのような突拍子もない設定でも論理的な推理によって合理的な結論を導き出すことで、本作による設定とは時間を操る機械である。いくつかの異なる機能を持つ失われた機械や、そのキャンセラーといった装置設定は、いかにもそのために作られた感があり、物語への本質的な働きかけというよりは、謎を謎とするためのガジェットのように思えた。本当のことを云えば、もう少しミステリーとしてではなく、物語全体へ働きかけるような構成になっているといいかなぁと思わないでもないが、それはおねだりしすぎか。

なんとなく否定的な感想になってしまったが、適度な速度感と萌えシロを散りばめた物語として、一気読みだったわけで、お気に入りであることをきちんと伝えておきたい。

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