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2007年8月27日 (月)

時載りリンネ!(1)

なるほど、魔法少女ネタを再生産する上で、このような方法論もあるのね、というのが一番の感想だろうか。結局、時載りという一見オリジナリティっぽいアイディアは、煎じ詰めると時間系魔法の云い換えでしかないが、しかし単純にコピーしているわけではないという意思は感じられる。
自ら設計した設定に関するツメの弱さはあって、時載りが時間/因果を本質的に理解できないというアイディアは面白いが、それがエピソードにあまり絡んでこないのは勿体ない。また物語終盤、主人公リンネの独白で時間と世界について語るシーンがあるが、これは上述の設定を覆す内容、つまりいままで誰も為しえなかった時間を理解することができた時載りとなったことを表すものであり、このことが時砕き足り得る資格として描けるはずなのに、そのことには一切言及されていない。そこらへんの甘さが本当に勿体ないのである。

勿体ないといえば、結局魔法バトル的な物語になってしまったのも自分としては惜しいなと思うところである。前半の普通の夏休み、普通の日常という雰囲気、描写は少年少女のひと夏物語としてけっこうよかっただけに、結局、ありがちなライトノベル的展開にいってしまったのは残念である。

ともあれ、続くようではある。次くらいまではつきあってもいいかな、と思っている次第である。

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2007年8月26日 (日)

働きマン(4)

相変わらずツボをついてくるのである。働く者たちに幸あれ(特にオレに、オレだけに!)。

今回は、父親話が自分にとってはかなりシンパシーを感じたのだが、いやホント、親ってば空気を読まないで直球投げてくるんだよね。答えられないから、応えたくないから、有耶無耶曖昧にしてるってことが判らん人種だよ、親。

幸せは遠いね。と自分語りするオレも、すでにかなりヤバイなのか。。。

しかし、菅野かぁ。いいかも知らん。と書くとライブ感ある感想ですかね。

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Book 働きマン 4 (4) (モーニングKC)

著者:安野 モヨコ
販売元:講談社
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マルティプレックス―彼女とぼくのコミイッタ日々

仮想空間と現実社会との多重構造による物語というのは、コンピュータゲーム登場以来、ひとつのジャンル形成をしているといってよいだろう。これはそんな作品群のひとつである。そのせいか、どのせいか知らないが、まあ普通だなぁ、というのが率直な感想である。

いろいろツメが甘いのが気になって作品に上手く入り込めなかったのがいけなかったのかもしれない。
仮想空間内の登場人物が、軍隊の階級を持つのはいいとして、もっと階級差ある者に対して対応に差があるものではなかろうかと思うのだ。上官と部下はいかにフランクな関係であろうとも完全にフラットではないはず。特に軍隊という規律を重視する集団においてはそれが顕著であると思うのだ。あるいは、それは意図的にそう書かれているのかもしれないとも思う。仮想空間があくまでも「ゲーム」という、現実ではない場所であることを作者が強調するために、そのような書き方をしたといううがった見かたができなくもない。しかし、そこまで深くこだわった世界構築をしているとも思えず、故に、なんか雰囲気で書き流してるんじゃないかなぁという気がなくならなかったというわけだ。

中盤以降で明らかになる、仮想空間招待者の選別方法が自殺志願者であるというのには、オリジナリティを感じだが、結果としてそれが本作ではまだ活かされきってはいない。それは次巻以降ということなのだろうし、けっこう期待するところではある。

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マルティプレックス―彼女とぼくのコミイッタ日々 (電撃文庫 た 13-5) Book マルティプレックス―彼女とぼくのコミイッタ日々 (電撃文庫 た 13-5)

著者:田村 登正
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2007年8月22日 (水)

遅延のお詫び

言い訳ですが、諸般の都合により更新が遅れております。

例によって、読了本自体は溜まりまくっており、自分でもあせっておりますが、週末には諸々落ち着くかと思いますので、それまで今しばらくのご容赦とご猶予をば。

(感想もタイミングを逸すると陳腐化しちゃうんだけどなぁ。。。 自戒)

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2007年8月16日 (木)

ミステリクロノ

新シリーズは、実にライトノベル的なガジェット/テーマの物語となった。失われた魔法のアイテムを探すために突然現われた天使。それに協力する主人公。アイテムの設定によって描きだされる謎と、アイテムの能力ならではの解決/冴えたやりかた。さらに淡い恋模様もあいまって、まあなんとも、これぞライトノベル(の一翼)だなぁ、と思うのであった。

本作のみに関して読んだ場合、やはりこの作家はミステリーという形式にこだわっているのだなぁ、と思った。いや、本質的には、物語を構築していく上でミステリーという形式でしか考えられないというべきだろうか(物語を生み出すための定式は個々人で違うし、それが作品の個性でもあるので、よいとか悪いとかいう類の区別ではないのは云うまでもないだろうが)。
ここでいうミステリーの形式とは、どのような突拍子もない設定でも論理的な推理によって合理的な結論を導き出すことで、本作による設定とは時間を操る機械である。いくつかの異なる機能を持つ失われた機械や、そのキャンセラーといった装置設定は、いかにもそのために作られた感があり、物語への本質的な働きかけというよりは、謎を謎とするためのガジェットのように思えた。本当のことを云えば、もう少しミステリーとしてではなく、物語全体へ働きかけるような構成になっているといいかなぁと思わないでもないが、それはおねだりしすぎか。

なんとなく否定的な感想になってしまったが、適度な速度感と萌えシロを散りばめた物語として、一気読みだったわけで、お気に入りであることをきちんと伝えておきたい。

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ミステリクロノ (電撃文庫 (1471)) Book ミステリクロノ (電撃文庫 (1471))

著者:久住 四季
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2007年8月14日 (火)

ブレスレス・ハンター(3)

もう少し続くのかと思ったが3巻で完結である。
「一気呵成に怒涛のクライマックス」というよりは、「え? これがラスト?」というやや拍子抜け的な感は否めず、なんとなく打ち切りのような雰囲気を感じずにはいられなかった。でも、まあそれはそれで終わり方のひとつではある。話自体放りっぱなしではなく、それなりに結末を用意しているし、そういう話だったのだと思うだけである。

結局、ブレスレスの謎については明確な答えはなく、仮設のひとつとして語られるだけであったが、おそらくは真実を導き出すのは難しいテーマなので(ヘンに因果関係を確定することで陳腐なものになる可能性が高いから)、逆に現象があって収束した、とだけ語ることにしたのは正解だろうと思う。
読んでいて思ったのは、そして特に最終巻で明らかになったものを読むかぎりでは、自分は「これって『555』だよな」ということである。ブレスレス=オルフェノク、幻銃=555システム。ストーリー的にも555もまたオルフェノクであったという展開は、まんま置換できる。元々、そんなに珍しくはないものなので、真似とは思わないが、もう少し違った味付けであってもよかったのではないかと思う。

ともあれ、終わりを急いだことによる書ききれなかったエピソードや展開はかなりあるように思う。自意識過剰な青臭い主張が飛び交うライトノベルとして結構楽しんでいたとこともあり、勿体なかったなぁ、と思う次第である。

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ブレスレス・ハンター3 (HJ文庫 か 1-1-3) Book ブレスレス・ハンター3 (HJ文庫 か 1-1-3)

著者:葛西伸哉
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2007年8月10日 (金)

おうちがいちばん(2)

秋月りす作品は安定して読める4コママンガである。ほのぼの、とそこまでのんびりしてはいないが、ノーテンキでポジティブなホームコメディが特徴であろう。特に本作は家族を中核としていて(いや、どの作品も家族をテーマとしているといえばそのとおりだな)、故にさまざまな世代での微笑ましい日常をすくいあげている。まあ、読んでいて、そういう日々の営みの共感が愛される理由だよなぁ、と思う次第である。

ただね。正直にいえば、ちょっと飽きてきてるのも事実。そんなに人生バラ色じゃないだろ、というか、所詮勝ち組の自慢じゃねーか、というか、ようするにヒガミなんだけど、別に羨ましいとかそういうことではなくて、ヒトの不幸をみて自分はまだましだよなぁ、とか、自己卑下と自己憐憫って自虐的でいいよなぁ、とか、そういう歪んだ感じが今はステキと思っており、あまりにも明るすぎて自分にはきっついなぁ、と。

そんな感じ。

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Book おうちがいちばん 2 (2) (バンブー・コミックス)

著者:秋月 りす
販売元:竹書房
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2007年8月 7日 (火)

かわいいあなた

これは「少女マンガ」である。

少女マンガの根本理念が、2者が出会い判りあい相思相愛になる過程の物語であるとするならば、これはまさに少女マンガであるといえる。例えば、相思相愛ではなく悲しい別れの結末であったり、相思相愛後のなれあいであったりするのは、根本理念の派生でしかない。あくまでも、出会いの物語であることから逸脱することはない。

さて、この作品の場合、掲載誌が掲載誌だけに「ガールミーツガール」の物語として成立しているのだけれど、それはあくまでもたまたま好きなのがおんなのこであったにすぎず、ヘンに扇情的であったり、必要以上に特別視されるような、特異な物語とはなっていない。読みかえると(そんなのが本当にあるのかどうかは自分は知らないのだけれど)女学生特有の同姓への憧れなのかしら。ともいえるが、それも含めて、性別によってカテゴライズされることのない、ヒトとヒトという結びつきを描いているのだと思う。

ここでそれを百合といってまとめてしまうことは簡単なのだが、百合といういささか手垢と色眼鏡(エロ眼鏡?)のついたイメージではなく、プラトニックな恋愛の成就という(自分でいうのは恥ずかしいが)シンプルな純愛として捉えたい。
まあ、第1話のラストで言及される、同姓の行為についての興味に関しては、まあ現代っぽいというか、当然起こりうる疑問であるというか、それをもって純愛じゃないでしょ、というか、いったいなにを弁護しようとしているんだろう? 自分。

ともあれ、繊細な筆致も魅力的な本作。自分のそこはかとない興味と羨望と煩悩と純情によって、よかったなぁという読後感を感じたのであった。

(メガネっ娘率が高いのが理由のひとつだということも、とりあえず告白しておきます。。。)

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かわいいあなた (IDコミックス 百合姫コミックス) (IDコミックス 百合姫コミックス) Book かわいいあなた (IDコミックス 百合姫コミックス) (IDコミックス 百合姫コミックス)

著者:乙 ひより
販売元:一迅社
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2007年8月 6日 (月)

南波と海鈴(1)

百合マンガ専門誌なんつーもんがあるとは知らなかった(不勉強なのか正常なのか。。。)のだが、書店で久しぶりのチャレンジャーっぷりで企画買い。4コマかと思ったら、ショートショートマンガでした。

感想としては、普通。まだキャラクターがいまひとつ立ってなくて、設定とストーリーに踊らされている感じがした。本来、この手のオバカなコメディ(ギャグ?)マンガは、適度な暴走感(適度な暴走って言葉としてヘンだな)が必要で、そのためにもキャラクターの個別化個性化は必須だと思うのだ。読む側も描く側もどちらも感覚として馴染んでいないのだな、まだ。

ただし、その萌芽はないわけではない(関係ないけれど萌芽って萌え萌えな単語だね)。次回以降への期待はある。猫耳の説明もされていないしね。

もひとつ、あとがきで作者が描いていたとおり、3話と4話で絵のタッチが変わっていたのには一発で気づきましたが、それがソフトに準拠するものだとは思わなかったな。多分、トーンなどのエフェクトがよりリアルなマンガ描きに近いということなのだろう。最近、ペンについてもコンピュータついても道具の問題はすっかりご無沙汰だったので、かなり新鮮な驚きではあった。

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南波と海鈴 1巻 (1)  (IDコミックス 百合姫コミックス) Book 南波と海鈴 1巻 (1)  (IDコミックス 百合姫コミックス)

著者:南方 純
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