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2007年7月20日 (金)

カラクリ荘の異人たち

妖怪や幽霊などのあやかしとつながる町の物語というジャンルは、これまでも色々と描かれてきており、かなり大派閥(?)を成しているというのは誰しも理解しているところだろう。逆にみれば同業他社が多くて、安易に手を出しても平凡の一言で切り捨てられてしまう場合があるよ、ということでもある。

で、本作。手堅くまとまっていて面白かった。セカイ系とかバトル系とか、あからさまなライトノベル的ガジェットを用いず、不思議がある普通の町という舞台で、主人公の戸惑いや心境の変化を淡々と書き、であるがゆえにヘンに熱かったり内省したり、という屈託が前面に出ず、素直に読むことができたのだと思う。

サブジャンル的には、下宿モノでもある。下宿というものは今まで出会うこともなかった住人達といやおうもな区同居することによって生じる諸々のドラマを描くことにあるが、住人とは、年齢や地域が近い学校や、生まれながらにして知り合いである家族などといった、ある程度推測のできる相手ではない自分とはまったく別種の存在である他者との出会いであり、つまり物の怪と同等の位置にあるといえよう。
だからこそ下宿モノには妖怪などが似合うのだということだ。

一言、捻くれた小言を云うならば、マントラ呪文の類をそのまま記述すると安っぽくなるのでそれはどうかと思ったですよ。

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