ワーキング・ホリデー
坂木司ならではの人情話、一気読みであった。
始めて出会うことになった少年と父親のヒト夏の物語とくれば、泣けることは必至。特にミステリーなどのギミックを排し、本当にふたりの夏休みを追い続けるという構成になっており、実に直球なのである。また、坂木作品ならではの、登場人物それぞれがどこかデタラメなくせに憎めないいい奴らで、読んでいて、ああ、いいなぁ。と思うのであった。まあ、相変わらず誰も彼も説教くさいってのはご愛嬌なわけだが、それも含めていいじゃない、と思う。
自分の指向としては、基本的に他人とのつながりをあまり求めるタイプではなく、簡単に云ってしまえば人間嫌いなわけで、だから人間っていいよね、という物語には「それは絵空事だ」という気持ちと同時に、裏返し的に「そういう関係って必要だよな」という希求する気分がある。だからこそ本作のような作品は面白く思うのだと思う。
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ワーキング・ホリデー 著者:坂木 司 |
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