うさぎとトランペット
ふたりの小学生が、音楽とつきあっていくことでちょっとだけ成長していく姿を淡々と追っていく小説でした。熱血とか青春とか、いわゆるスポコン的なところがなく、非常に低温度な話で、なんとなく乗りきれずに読み終わってしまったなぁという感じが強かったです。
成長する姿を描いているのですが、エンタテイメント的にはドラマチックな出来事があってそれを契機としてひとつ大人になっていくというパターンがあると思うのですが、本作は真逆といってもいいかもしれない。日常の中で、いじめなどのさざ波は立つもののそれが大きなドラマに結びつくことはなく、そういうこともあった的な描き方でひとつの節目としてケリがついていない。全体がそんな感じで物語が進んでいく。そして少女達は、歳を重ねていく(といっても小4から小6ですが)上で、誰もがそうなるべくしてなる成長(第二次反抗期的なそれ)をみせる。そんな普通な物語なわけです。
個人的には視点の統一がとっちらかりすぎていて、読みづらいということもあってか、なんとなく作品に没頭できなかったのは残念でした。
うさぎとトランペット (新潮文庫 な 46-2) 著者:中沢 けい |
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