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2007年7月24日 (火)

火目の巫女

ライトノベルらしくないという外評を聞いていたのでどんなものかと思っていたが、読んだ印象としては、さほどの差異は感じなかった。
例えば、キャラクター性を重視する、というか、キャラ萌えを商売とする、という商品価値を大事にする小説という点でいえば、主要な人物が劇的なドラマもなく死ぬという展開はライトノベルらしくないといえるかもしれない。あるいは、読者に、よりシンパシーを感じてもらうために現代を舞台とすることが多いという属性からすれば、古代の日本(らしい)設定は目新しかったのかもしれない。
しかし、これらはバリエーションの一種であって、有体にいえば想定範囲内だと自分は思うし、故にこれをもって新機軸であるとはいえない。

自分としては、伝奇小説的な仕掛けよりも、それをバックボーンとしつつ物語としては学園小説であるという部分に惹かれた。簡単に云ってしまえば主人公達は士官候補生であり、その成長と挫折、再生の物語である。にしては、かなり荒っぽい展開で書き急ぎすぎているなぁ、とは思う。もう少し日々の暮らしぶりや人間関係構築の展開などをじっくり描いていけば、よりエモーショナルな物語になったのではないか。じっくり描くということでいけば、さらに後宮候補という設定についてももう少し生かせるはずだったと思う。

今回は「神様のメモ帳」シリーズ好評につき他のシリーズも読んでみようというトライアルだったわけだが、なんとなくもったいない感を感じつつ読了した次第である。

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