capeta(14)
相変わらず熱い熱い。以下次巻、乞うご期待。
大河ドラマにつき1冊単位の感想はさらっと。
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capeta(カペタ) 14 (14) (講談社コミックスデラックス) 著者:曽田 正人 |
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相変わらず熱い熱い。以下次巻、乞うご期待。
大河ドラマにつき1冊単位の感想はさらっと。
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capeta(カペタ) 14 (14) (講談社コミックスデラックス) 著者:曽田 正人 |
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相変わらず節操がないと自分でも思いますよ。でも所詮は煩悩戦士ルサンチマン。リビドーのおもむくまま確信犯的にグェットですよ、と、呪術的逃走による韜晦によって真意をごまかす照れくささではあるのですが、ようするに、はい、告白。自分、インリン好きなんです。M字コスプレのデコルティックなところも好きですが、普通のおねーさんな普段の姿もよいですなぁ。
(相変わらず写真ネタだと、おバカな感想になるなぁ)
しかし、写真集的にはイマひとつでしたね。狙いが読めない。扇情的なところを狙ったのか、それにしてはエロティックとは紙一重の醜傀な面だけが強調されてしまって、もう少しコンセプトを判りやすくしてほしかったっす。自分の写真のテクストとしてもあまり参考にはならんかったし。
得てして月刊シリーズって、狙いすぎて滑ってしまうケースが多いように思います。でも買っちゃうんだけどね。
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月刊インリン・オブ・ジョイトイ 2 (2) (SHINCHO MOOK 92) 販売元:新潮社 |
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これは海外におけるライトノベルということでいいのかな? ジュブナイルという程、教養的ではなく(いい意味で)安直なエンタテイメントに徹しているという点において比較比類するならば、そして、作者と読者が同世代的な、視点/知的水準/共時性を持つ作品という観点からいっても、ライトノベルということになるのだろう。
ただし、まあ、甘いんだよね。つくりが。ガジェットの設定しかり、物語の展開しかり、どうにも詰めが甘い。子供だましというかね。子供向けがダメなんじゃなく、誰向けであっても同じで、すべからく納得できるつくりこみが欲しかった。神は細部に宿るじゃないけれど、細かいところで雑だと読んでいてもどこかうそ臭さがでてしまうのだ。(特に感じたのは金属を溶かすクリーム。あまりにも現実離れしすぎでご都合主義的だと思う)
日本のライトノベルとの差異についてだが、日本のそれはヘンに内省的で屈託していることが多いのだけれど(だからセカイ系などの得意なジャンルが構築されたりもするのだが)、この作品は本当に無邪気というか悩みがないというか、そこらへんの違いはちょっと面白いなぁと思うのだった。これはもしかしたらマンガの進化系統に準じているのかもしれない。
あとは、作者がいけないのか訳者がいけないのかわからないけれど、文章がヘタだね。あまり追求はしないけれど、もう少し構成を考えてもよかったのではなかろうか。
と、とりあえずネガティブな感想を書き連ねてはみたが、気軽な娯楽としてはそこそこに読めたので、次回作も読んでしまうのだろうなぁと思う。
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ストームブレイカー (集英社文庫 ホ 9-1 少年スパイアレックス・シリーズ 1) 著者:アンソニー・ホロヴィッツ |
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絶望した! アニメ化の声を聞いたとたん毒が弱くなった久米田に絶望した!
絶望した! 同業者や政治、イデオロギーなど、天に唾吐く危なさが減ったことに絶望した!
絶望した! それでも期待して読んじゃってる自分に絶望した!
いや、まあ、結局面白いっつーことなんですけど。
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さよなら絶望先生 第9集 (9) (少年マガジンコミックス) 著者:久米田 康治 |
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ライトノベルらしくないという外評を聞いていたのでどんなものかと思っていたが、読んだ印象としては、さほどの差異は感じなかった。
例えば、キャラクター性を重視する、というか、キャラ萌えを商売とする、という商品価値を大事にする小説という点でいえば、主要な人物が劇的なドラマもなく死ぬという展開はライトノベルらしくないといえるかもしれない。あるいは、読者に、よりシンパシーを感じてもらうために現代を舞台とすることが多いという属性からすれば、古代の日本(らしい)設定は目新しかったのかもしれない。
しかし、これらはバリエーションの一種であって、有体にいえば想定範囲内だと自分は思うし、故にこれをもって新機軸であるとはいえない。
自分としては、伝奇小説的な仕掛けよりも、それをバックボーンとしつつ物語としては学園小説であるという部分に惹かれた。簡単に云ってしまえば主人公達は士官候補生であり、その成長と挫折、再生の物語である。にしては、かなり荒っぽい展開で書き急ぎすぎているなぁ、とは思う。もう少し日々の暮らしぶりや人間関係構築の展開などをじっくり描いていけば、よりエモーショナルな物語になったのではないか。じっくり描くということでいけば、さらに後宮候補という設定についてももう少し生かせるはずだったと思う。
今回は「神様のメモ帳」シリーズ好評につき他のシリーズも読んでみようというトライアルだったわけだが、なんとなくもったいない感を感じつつ読了した次第である。
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火目の巫女 著者:杉井 光 |
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坂木司ならではの人情話、一気読みであった。
始めて出会うことになった少年と父親のヒト夏の物語とくれば、泣けることは必至。特にミステリーなどのギミックを排し、本当にふたりの夏休みを追い続けるという構成になっており、実に直球なのである。また、坂木作品ならではの、登場人物それぞれがどこかデタラメなくせに憎めないいい奴らで、読んでいて、ああ、いいなぁ。と思うのであった。まあ、相変わらず誰も彼も説教くさいってのはご愛嬌なわけだが、それも含めていいじゃない、と思う。
自分の指向としては、基本的に他人とのつながりをあまり求めるタイプではなく、簡単に云ってしまえば人間嫌いなわけで、だから人間っていいよね、という物語には「それは絵空事だ」という気持ちと同時に、裏返し的に「そういう関係って必要だよな」という希求する気分がある。だからこそ本作のような作品は面白く思うのだと思う。
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ワーキング・ホリデー 著者:坂木 司 |
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妖怪や幽霊などのあやかしとつながる町の物語というジャンルは、これまでも色々と描かれてきており、かなり大派閥(?)を成しているというのは誰しも理解しているところだろう。逆にみれば同業他社が多くて、安易に手を出しても平凡の一言で切り捨てられてしまう場合があるよ、ということでもある。
で、本作。手堅くまとまっていて面白かった。セカイ系とかバトル系とか、あからさまなライトノベル的ガジェットを用いず、不思議がある普通の町という舞台で、主人公の戸惑いや心境の変化を淡々と書き、であるがゆえにヘンに熱かったり内省したり、という屈託が前面に出ず、素直に読むことができたのだと思う。
サブジャンル的には、下宿モノでもある。下宿というものは今まで出会うこともなかった住人達といやおうもな区同居することによって生じる諸々のドラマを描くことにあるが、住人とは、年齢や地域が近い学校や、生まれながらにして知り合いである家族などといった、ある程度推測のできる相手ではない自分とはまったく別種の存在である他者との出会いであり、つまり物の怪と同等の位置にあるといえよう。
だからこそ下宿モノには妖怪などが似合うのだということだ。
一言、捻くれた小言を云うならば、マントラ呪文の類をそのまま記述すると安っぽくなるのでそれはどうかと思ったですよ。
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カラクリ荘の異人たち~もしくは賽河原町奇談~ [GA文庫] (GA文庫 し 3-1) 著者:霜島ケイ |
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空に浮かぶ鯨というシチュエーションには、惹かれるものがあるのだろうか。(厳密にいえば宇宙なんだけど)「ジョナサンと宇宙くじら」や「銀河ネットワークで歌を歌ったクジラ」などはいい例だが、けっこうな数があるように記憶している(ジュディマリの「くじら12号」はタイトルだけだったか?)。おそらく、空なり宇宙なりと大洋との連想があって、またクジラという大きな生物への畏敬の気持ちも相まって、ということなのだろう。
で、本作。実のところクジラが泳ぐ空という設定は、それ自体を解明すべき謎としておらず、そのような状況下にある街でのちょっと不思議な日常、少年少女の成長を主眼としている。語り口も暖かく、まさに青春というかジュブナイルというか、ネガティブな内省、自傷もなく、心地よい読後感である。多少のあらさや既視感もあるのだけれど、その明るさによって救われているよな、と。ヘンに小難しく考えず、素直に楽しめばいい小説なのだな、と。そう読めばいいのだと思う。
個人的には、物語のどこかで、空に浮かぶクジラ自身の謎についてひとつの答えを出してもらう、そのセンスオブワンダーのきらめきがあってもいいのになぁ、と思わないでもない。ありえない世界が成立することによる驚き、広がりを味わってみたかったかなぁと思う。しかし、主人公達が中学生だし、そもそも小説としての志向も違うわけだし、逆にそうなっていたらいたで、展開が無理やりだとか、そういう捻くれたことをいってたかもしれない。とりあえず、本作は本作として、これでよいのだと思う。
ぜひ続編など無駄にエクスペンドすることなく、いい感じで完結しておいてほしいですね。
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海をみあげて (電撃文庫 ひ 4-2) 著者:日比生 典成 |
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ふたりの小学生が、音楽とつきあっていくことでちょっとだけ成長していく姿を淡々と追っていく小説でした。熱血とか青春とか、いわゆるスポコン的なところがなく、非常に低温度な話で、なんとなく乗りきれずに読み終わってしまったなぁという感じが強かったです。
成長する姿を描いているのですが、エンタテイメント的にはドラマチックな出来事があってそれを契機としてひとつ大人になっていくというパターンがあると思うのですが、本作は真逆といってもいいかもしれない。日常の中で、いじめなどのさざ波は立つもののそれが大きなドラマに結びつくことはなく、そういうこともあった的な描き方でひとつの節目としてケリがついていない。全体がそんな感じで物語が進んでいく。そして少女達は、歳を重ねていく(といっても小4から小6ですが)上で、誰もがそうなるべくしてなる成長(第二次反抗期的なそれ)をみせる。そんな普通な物語なわけです。
個人的には視点の統一がとっちらかりすぎていて、読みづらいということもあってか、なんとなく作品に没頭できなかったのは残念でした。
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うさぎとトランペット (新潮文庫 な 46-2) 著者:中沢 けい |
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まあまあ面白い。でもよりジャンプ的だなぁ、と。友情・努力・勝利という構図もそのとおりなのだが、ゲームシステム的というか、メディアミックス展開への色気がみえみえというか。まあ、それでも面白ければいいんだけど、目下のところ作画の魅力に頼りきっているのは否めないだろう。
脚本があまりよくないのだ。世界を構築することの意味に無自覚すぎるように思う。中盤あたりに「この星の生物云々」という科白があったが、はて? この物語において世界=星のひとつという概念が提示されていただろうか、と引っかかってしまった。きちんと読み返していないのでもし間違っていたのならゴメンナサイなのだが、そのような、例えば世界観や宗教観などを住人はどう捉えているのかということを意識的に制御するということが、実は非常に重要なのだ。そこらへんがルーズだと、借物の設定という印象になってしまうのだと思う。
まあ、相変わらずのキョニウLOVEな絵は個人的には大歓迎なので、愉しかったといえばそのとおりなのだけれど、物語的にも満足させてほしいなぁ、とも思う。
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BLUE DRAGONラルΩグラド 2 (2) (ジャンプコミックス) 著者:鷹野 常雄,小畑 健 |
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まずはじめに感じたのは、前作よりもとっつきがいいなぁということだろうか。おそらく主人公が馴染みの分、物語に入りやすいという理屈は納得しやすいが、それだけでもないような気がする。
語り口の上手さ。なのだろう。まだ導入部なのかなぁと思っていたら半分くらい話が進んでいたのには驚いた。中味がない、というのではない。物語の展開がスムーズでしかも面白いせいで、感覚で捉えられた以上に話が進んでいたということなのだ。それだけリーダビリティが高いということだ。まあ、物語自体シンプルな構造なので、飲み込みやすいということもあるのだが。
闇の守り人の謎については、半ば予想どおりであり、その決着もまあ予想のつく範囲であった。これはバルサが故郷を訪れた理由を語った時点でこうなると推測ができるだろう。だから、やはりこの物語は語り口の「ものがたり」であるということだ。
自分としては前作よりも好きなのだが、それは「逃げ」ではなく「追い」のスタンスで話が進んでいくせいだと思う。
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闇の守り人 (新潮文庫 う 18-3) 著者:上橋 菜穂子 |
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相変わらず面白い。そして酒飲みたくなる。
ま、それはそれとして。
この作者は女性を魅力的(肉感的だから)に描く人なのだが、基本的に書き分けはできていないんだよね。基本的に髪型での区別でしかない。だから、その区別化を強化するために、鼻テープとか隈とか(全部ムトーじゃんか)、あるいはボンデージファッション好きとか、わかりやすい外装を付加している。
(本当は、目元などにも若干の差異をつけているのだけれど、ちょっと微妙。まあ、顔において一番個性を語るのは目なので微妙な差が個体差につながるのも事実なんだけどね)
そんな女性陣に比して、男性たちは全身で個性を表現している。全員が全員、似通っているところがない、というといいすぎだが、ここで掻き分けをしています、という区分点はない。
だからどうなのよ、という話でもないのだけれど、これは多分、作者が魅力的だと考えている女性の絵がそのまま描かれているんだろうなぁ、と思うわけですね。そしてそのことに対して自分としては全然問題ないっす。ちなみに、ムトーとオイカワが好きっす(フツーの感想ですみません)。
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小粋だねぇ。なんか冒頭から安心して楽しむことができたのだが、なぜそう感じたのか、なぜいきなり物語に引きこまれてしまったのか、自分でもよくわからない。伊坂の魔法にまんまと取り込まれてしまったのだろう。
ちょっとした謎とその解明。いや、解明ではない。解釈か。なぜなら真相は明らかにはされていないから。そしてそうする必要もない。これは主人公達が、日常におこったさざなみに、どう推理(という名の知的遊戯)をしたかを話し合うだけの物語であるからだ。その分、キャラクターが強烈ということなのかもしれない。
自分はあんまり続編というものに興味や欲求を感じないのだけれど、本作の登場人物たちには、また会いたいなぁと思った。
基本的にミステリーなんだけれど、個人的には一番ミステリー色の少ない「チルドレン2」が好きかなぁ。オチが軽妙かつ美しいという点においてね。
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チルドレン (講談社文庫 (い111-1)) 著者:伊坂 幸太郎 |
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酒飲みだからといって、酔えればいいってモンでもない。さりとて酒が美味ければいいだけでも不満足。やはりそれなりのシチュエーション、環境で飲みたい。別に小ぎれいな場所である必要はない。オシャレな店も好きだし、逆に場末の立ち飲みや路上机も好きだ。ようは雰囲気なのである。
自分にとって酒を飲むということは、確かに美味しいからという理由がもっとも大きいとしても、何%かは、大人プレイを愉しんでいるという面があると自覚している。こういう店もこなせる“おっとな~”な自分に酔う。そういう感覚である。
だからこそ、単に酔えればいいような飲み方はしないし、無意味にはしご酒もしない。だってそれはかっこ悪いから。
本作が語る酒との付き合いは、だから、半分納得かつ共鳴しつつ、でも違うだろ? と思うところもまたあるのである。だから楽しい。
普通の酒飲みってどういうつもりで飲んでいるんだろうなぁ。
まあ、読んでいて酒が飲みたくなる誘惑にかられるということだけは、確かでしょ。それって賛辞だよね?
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酒のほそ道 21 (21) 著者:ラズウェル細木 |
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ジャンルとしては絵とき歳時記。けしてマンガエッセイではない。サブカル系旅ルポが好きな人にはお勧めする。
モリナガヨウという作家を知ったのは、4コママンガ「あら、かなちゃん」で、一見単純な絵柄であるが、その実、非常に計算された、かつ直観的な線を引く人だなぁ、上手いなぁ、と感じており、本作においても緻密な描写力は街を描くということに物凄い力を発揮している。
1ページ1ページが非常に濃いので、これまたまとめて読むのではなく、一日1ページくらいの速度で、味わうべきなのかなぁと思うのであった。
ところで、この本、詳しくは判らないんですが、完全版、というか全話収録じゃあないですよね?「あらかな」のときもそうだったんだけど、ファン気質としては、よりぬきじゃあなくて、完全収録してほしいんだよね。需要と供給と個人的要望は常に一致しないのが世の常とは云え、物悲しいかぎり。
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東京右往左往―TOKYO GOING THIS WAY AND THAT 著者:モリナガ ヨウ |
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人気イラストレーターらしいが、自分的にはちょっと違うかな、と。それは、まあ個人的に「萌え」要素を記号化しただけの絵に対してあまり惹かれないせいという極めて個人的な嗜好なので、好きな人はそれでよし、とは思っています。
で。それはあくまでも絵柄としての話。マンガとしてみた場合は、また違う印象と感想を持ちました。
まず興味深いのは、一応4コマの体裁をとってはいるものの、内容は全然4コマじゃないこと。基本的には4コマ目でオチ(らしき句点)をつける。という約束事が多かれ少なかれ、これまでの4コママンガにはあったのですが、この作品はそれがない。8コママンガ、16コママンガ、いかようにでも物語は進んでいくのですね。4コママンガの形式でストーリーマンガをやるのではなく、ストーリーマンガを(物理的に)4コマに割ったコマに描いているだけ。そういうスタイルになっているのです。これはあるようでなかったような、個人的に非常に新鮮な感覚でした。
さらに、そのような話とするため、セカイの終わりの噂によって崩壊寸前の社会という環境設定の中での非日常的日常生活という飛び道具が組まれており、4コマ目でオチをつけないという手法と相まって、物語はギャグではなく、シリアスなイメージが強くなっているわけです。自分的には非常に面白いなぁと思う次第です。
第一部の思いきりシリアス(?)な話も、第二部のややコメディ色の強い話も、基本的には重くのしかかる滅亡のムードという中での物語は、しかしマンガ的ではあるにも関わらず、最近はあまりみないなぁ、という点も注目すべきところではないかと。その破滅系セカイ系な物語は、実にライトノベル的であるというわけ。つまり、いったんライトノベルというジャンルの活字作品へ転移した設定作風が、再びマンガという形式に再転位した。その際に、ダイレクトに戻らず、ここ数年確立したストーリー系4コマという形式に落とし込まれていった。とそういう変遷が推測される。そこが面白いなぁと思うわけです。
まあ、話自体も突飛とまではいわないですが、十分に面白いと思えましたし、いろんな意味でお買い得なのではないかと思います(というほど、強烈にプッシュするほどでもないか)。
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五日性滅亡シンドローム 1 (1) 著者:ヤス |
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ごきげんよう。
短編集。しかもいつものメンバーではない、(こう云っちゃなんだけど)その他大勢の人々にフォーカスした掌編は、匿名性が強く(逆に云えばキャラクター性に寄らない)、故に物語そのものを読ませる仕掛けとなる。
そのことが、この物語がライト百合小説であることを浮き彫りにするのだ。まあ、ライト百合という云い方をすると、アレだが、つまり昔からある、同性だからこそ成立しうる友情と純愛の入り交じった精神的な情愛を描くつまりは少女小説だ。もちろん、今の時代に書かれているが故のヘンなリアリズムが入り込んできているのだが、それがかえって違和感を生むくらいに古風な物語なのである。まあ、そこらへんのことはいずれあらためて。
ちなみに自分としては「温室の妖精」のエピソードが一番好きですなぁ。
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マリア様がみてるフレームオブマインド 著者:今野 緒雪 |
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タイツくんによる時事問題の戯画化。と簡単に云ってしまえばそういう組みマンガ。というかイラスト。というか。
とりあえず企画展参加記念的に購入してみたわけだが、たまにパラパラ開いては愉しむというのがいい感じ。個々のネタを流し読みになってしまうので、一気に読むような内容ではないな、と思った。そういう意味では、連載として読むという形態が一番似つかわしいのだなぁ。
肉感的な女性の絵図が自分的にはちょっとグッときますが、それって万人の感覚だよねぇ?
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タイツくん 新熟3丁め 著者:絵・高橋 潤/文・松岡 宏行 |
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注意! 文中に真相を示す記述があります。
事前にいろいろと云われていたので、それなりに構えて読んだせいか、必要以上には驚きはしなかった。しかし、そういうこと!? という驚きはやはり隠せない。第一、そこに至るまで語られた一級のハードボイルドミステリーを、最後の最後で叙述トリックミステリーへと変貌させる、その思いきりのよさと作者のトリックスターぶりに対しては驚きを隠せなかった。
結局、叙述トリックとは、煎じ詰めれば詐欺なのである。一歩間違えれば、なんだったんだよ! というマイナスの感想しか残らない。たとえ見事に騙したとしても、いや、見事に騙したからこそ評価が下がる。そういうこともありうるジャンルなのである。
言い換える。叙述トリックが効果を発揮するためには、真相に至る前までの物語がどれだけ魅力ある物語になっているかが重要である。仮に平凡な物語であれば、真相が明らかにされたことでおこるパラダイムシフトのインパクトは薄れてしまい、結果、小説として失敗してしまう。しかし、前半が見事であれば見事であるほど、読者の「それまでのはなんだったんだよ」という裏切られた感は強くなり、そのせいで読後の満足を削ぐことになる。
つまりは、そんな両刃の刃の上に立つ小説なのである。
で、本作。見事な前半部。そして叙述トリックによる強烈な結果。しかし見事だと思ったのは、その真相がそれまでの物語をけして否定していないということなのである。主人公がヒーロー足りえている部分はやはりヒーローであるのだ。そういうケアがあってこそ、見事な一遍となっているのだと思う。
まあ、主人公はいいとして、対するヒロインについては、ちょっと、いやかなり首を傾げないでもないが(70歳の売春婦に自分はリアリティを感じない。とゆーかドン引きするでしょ)、まあ物語への敬意に免じてそれは許すさ。
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葉桜の季節に君を想うということ 著者:歌野 晶午 |
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