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2007年6月17日 (日)

世界平和は一家団欒のあとに(2)

飛び道具的な設定と思いのほかしっかりとした物語という、1作目は、であるが故にそこで完結し、むだにダラダラと希釈拡散していくような続編はやめたほうがいいと思っていた。前回もそういう感想を書いていた。前言撤回。2作目も十分に面白かった。正直やられた。

この本が一貫して語っているのは「家族」であり「コミュニケーション」である。それはまさに真摯に描こうとしている。逆にいえばアクションとか萌えとか、いわゆるライトノベルのお約束的おかずにはあまり拘泥していないとも云える。だからクライマックス含めアクションシーンはあるが、それ自体を描いてはおらず、あくまでも物語を進めるための行為として描いているのだ。
だから、一見チャラチャラしたライトノベルであるにもかかわらず、読み終わって得られるのは、むしろ一般小説の感慨に近いのだ。

(これは今までもいっていることだが、別にライトノベルについて小説の上下があるということではない。志向が違うというだけのこと。ただ往々にしてライトノベルはツメの甘いモノが多いというのもまた事実だから、ね)

そんな印象を生み出しているのは、実はストーリー自体にあるのは当然として、さらに文体が石田衣良@IWGPに非常に親和しているせいではなかろうか。だからどうだというわけでもないが、個人的には好きな筆使いなので、ちょっとリコメンドする次第である。

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