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2007年4月19日 (木)

精霊の守り人

これまで幾度となく主張しているのだが、自分はファンタジーというジャンルについて、見かたが厳しい。ファンタジーの醍醐味は(概念としての)異世界の構築にあると思っている(それは仮に舞台が実社会に立脚していても同様である)。
故に既成の世界観を移設しただけのファンタジーについては、かなり閾値をあげて読んでしまっている。
同じようなことを考えている人は、やはりいるもので、今回解説をしている恩田陸も同様の趣旨(自分ほどきつくはないにせよ)のことを書いていて、我が意を得たりと思った。

さて、本作。実に素直で王道のエピックファンタジーであった。的確で過不足のないキャラクター造形、ストーリー配置により、とても読みやすく、その物語を堪能することができる。
独創的な世界観か? といわれると、それはちょっと違うかなとも思うが、それは確固たる文化人類学的素養に基づいての「どこかできいたことのある、しかし具体的にどこと特定のできない世界というリアリティ」ということだと思う。少なくとも、どこからかの模倣的世界ではない。ということだ。ヘンに奇をてらってのムチャ世界(も嫌いではないのだけれど)よりは、ストーリーに入りやすいという利点はあるといえよう。

個人的には、和製ファンタジーであるならば、無国籍性はほしいが、固有名詞などの世界を連想するタームについては、和風でもいいのではないか、と思うところがある。一般的にラ行の名づけについては、鼻白むことが多いのだが(偏見であるとは我ながら思っているが)、本作に関しては西洋風ではないところはいいとして、なんとなく馴染みにくいかな、と思うところもあった。まあ耳ざわりのいい音調を選んでいないということだと思うし、意図的でもあろうし、あまり拘泥するべき点でもないから、いいけれど。

以上、勝手な自己主張をしてみたが、エンターテイメントとして一気読みの面白さであった。さすが良作という評判はウソじゃなかったなぁと思う次第である。

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