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2007年3月27日 (火)

ロリヰタ。

モードとしてのロリータをキーワードに、実はその語源的ポジションであるナブコフ作品に対するオマージュ、現代的視点による類型解釈の物語となっている。ある意味、衣装としてのロリータは物語機能としてはフェイクとなっている。伏線ではなく、作品を読む者が、まんまナブコフを思い浮かべることのないように、あえて誤読してもらうための仕掛けとなっているわけだ。

自分も中盤まで、これはロリータというファッションの物語であると思っていただけに(まあヒロインが“そういう年齢である”ことは容易に想像はついてはいたが)、ロリータ=ファッションとロリータ=恋愛対象という、物語装置としての主従の逆転に気づいたときは、ああ、そうか、とかなりやられたのであった。

あくまでもロリータという存在に対する自己の有り様(と社会との差異)の物語であり、ロリコンの物語ではないというのが非常に重要で、おそらく普通に読めば、純愛小説といってもいいのだ。でも現実社会において、奇妙奇天烈な格好をしたオッサンが少女とつきあっております、恋愛感情はあります。といわれても、ね。やはり、オイオイと思ってしまうだろうなと思う。社会におけるマイノリティは、それを貫きとおす強い意思が必要だし、あるいは社会の視線を気にしない鈍感さが必須なのだろうなぁ、と思うのであった。

同録の「ハネ」についても実は同様のことがいえる。いかに社会に対して自己を自己として守るか、アイデンティティを失わずにいられるかの物語である。

この2作品を読むと、ひねくれた見かたをすると強い意思を持った愛情とは、なんのことはない、単なるナルシズムなのでは? と思ってしまったりもするのだけれど、そんな救いのなさは実は心地よいなぁとも思う。所詮、自分もまた自己憐憫によって存在するからなのだろうな。

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