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2007年2月20日 (火)

世界平和は一家団欒のあとに

超人家族の非日常的日常という設定は実にライトノベル的である。先行例としてなにがあるのかといわれると、急には思いつかないのだが(「Mrインクレディブル」とか?)、おそらくこのような設定が堂々と語られることができるのは現在ではライトノベル(あるいはマンガか)でしかありえないのではなかろうか。しかし、そのようなベタな設定ではあるが、物語の展開やテーマは、実はしごくストレートな家族の物語であった。多分に内省的になりがちな物語は、ある意味(もうひとつの潮流の)ライトノベル的ではあるのだけれど、設定の破天荒さと同様のテンションではない。そのギャップさが自分にとっては非常に魅力的であったのだった。
設定の奇想っぷり、バカっぷり。しかし語り口やテーマは直球。そういう話が好きなのだ。オレツボストライクなのも仕方のないことなのである。

あえて云うなら、クライマックスが動的にも静的にもちょっと腑に落ちないところはあったりするのだけれど、シンプルにしてストレート、かつナイーブな文章が、上手くはまっていたので、よしとしましょうか。

ライトノベルの大きなカテゴリーとして「セカイ系」がある。世界を守る。世界の敵を倒す。という設定において、世界イコール登場人物の手の届く範囲、主観敵把握としての世界であるという、実にナイーブな世界観を指すと、自分は解釈しているのだが、さて、この物語においては、超人家族という設定上、世界を守るという行為を行うわけだが、ここでいう世界は、「セカイ系」の世界ではなくて、リアルな世界(イコール地球であり宇宙である)というところが、逆に面白いなと思った。本来、世界という言葉が指す意味が一周回って元に戻ってしまったというところだろうか。

まとめとして、この物語はキャラもそれなりに立っているが、物語としてこれできれいに完結している。これ以上、広げると単なるキャラ小説に陥ってしまう。だから、続編などの色気を出さずに、1冊で完。と美しくまとめてほしいなぁ、と切に願うのであった。

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