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2007年2月26日 (月)

モノケロスの魔杖は穿つ(2)

結論から云えば、全然楽しめなかった。前巻を読んだときもいまひとつピンとこなかったこともあり、何故そう思ったのかを検証してはみたのだが、そのときのキャラクター不在、環境設定に関する頭でっかちな構成によるもの、という感想は、的外れではないと今でも思う。しかし、なんのことはない、文章構成力というか、安定性というか、ようするに書きっぷりの問題なのだった。

まず、登場人物の表現。リアリティがあるとかないとかいう前に、キャラクターが安定していないのだ。感情の変化レベルでは説明できない思考/嗜好/志向のブレが大きすぎて、場面ばめんでまったく違う人物になってしまっている。唯一、ブレの少ない魔術師ですら不安定。おかげで読み進めていくのが非常に難しい。この不安定さは文章構成においても発揮されている。重くて硬い文体で進んでいたかと思いきや、急にライトノベル的ボケやおちゃらけた文章が登場してきて、それまでの文章としての流れを分断してしまう。また、隠匿された町からいきなり海に舞台が移るが、エクスキューズもなにもなくけっこう(悪い意味で)驚いた。以上、すべからく本として「読まれる事」を意識しているのかどうかという、根本まで邪推してしまう。
事程左様な感じで、結果、スムースにストーリーを追う事が(少なくとも自分とっては)かなりつらく、よってせっかく面白げな世界観や場面設定を展開しているにも関わらず、それが生きてこない、伝わらないのである。書きたい事とそれを実際に書き表す事のアンマッチがあるのだ。

この作家の本質は、戦略と交渉なのだと思う。あるいは策謀史観、世界を法則によって理となすタイプの作家なのである。その点については非常にユニークであり、面白いなぁとは思うのだけれど、如何せんそれを文章に具現化するのが得意ではないのではなかろうか。直接作文するのではなく、設定等を考え、提供する側にまわるほうが生きるのではにないか、とも思う。

繰り返しになるが、この独特の世界観は面白い。ヘンに形而上学的、あるいはオカルティズム的で、非常にユニークである(大雑把に括ればエヴァ的とも云えるか)。もっとその設定をしゃぶりつくしたいぞ、とも思う。しかし、(申し訳ないが)そのために文章として表現されたものに対してイラつくのも不本意だと思う。

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『モノケロスの魔杖は穿つ (2)』作者: 伊都 工平出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2007/02メディア: 文庫 シリーズ第2巻。 前作は、もっと読みにくかった気がしたのですが、これは比較的読み易かった。 登場人物は、誰も極端な人物像、行動パターンで、人間味溢れる、というわけにはいかないが、作者が描こうとしている人物像ははっきりしていて、そこは判りやすい。 また、主人公たちの置かれている状況が、前作である程度配置を終えて整理されたので、この話では説明不足で混乱すると... [続きを読む]

受信: 2007年3月 6日 (火) 21時39分

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