« 06年の総括パート3 | トップページ | メイド刑事3 »

2007年1月 8日 (月)

評伝シャア・アズナブル <赤い彗星>の軌跡(上・下)

ヲタク系サブカルチャー分析本というジャンルは、商業ベースから同人ベースに至るまで玉石混合の状況の中、様々な露出がされている。特にその中でもキャラクター分析・評価というアプローチはファン気質を非常にくすぐるテーマであるためか、これまで数多く行なわれている。

さて、本書である。この本の素晴らしいところは、フィクションではなくあくまでも史実であるという一貫した視点で記されている点であり、故にファンブックではなく評伝足りえているということである。手法としても、評伝としての体裁を貫き通し、これまで多く既出した心理分析や名言集にはならないように気をつけているように思う。つまりは人物評としての伝記であることを固持できているのである。この架空を事実として捉える、捉えるだけではなく架空であることを否定する方法論により、本書は嘘学として成立しているのである。

面白いのは、ガンダムがTV版、映画版という微妙に内容の異なるいくつものバージョンが存在することを異説として表現していることである。現実世界においても時間の経過とともにいくつもの説が存在することはようある話なのだ。だからこそ、本書において異説が存在することで、逆にここに書かれている歴史があたかも史実であるかのような雰囲気を作り出しているのだ。これが例えばTV版だけを、あるいは映画版だけを原典とし、他を切り捨ててしまったらここまで歴史としてのリアリティはでなかったかもしれない。

自分はファーストガンダムについてはかなりはまった方だが、ゼータ以降はいまひとつ面白いとは思えずほとんど観ていない。だから、本書において、逆襲のシャアまでの概括ができたことについては感謝したい。
実のところ、本書後半(ゼータ中盤以降といってもいい)は、論旨構成が若干乱れてしまっているところはある。シャアという人物評が上手くころがっていないように感じた。あるいはこれは原典自体の混乱のせいで、まとめづらかったせいかもしれないが、もう少し整理してほしかったとは思う。
(もっともこれは、自分がゼータ以降、観ていない故の共感がないせいから、という見かたもあるのだな。しかし見なくなった理由が話として変に複雑化混乱化して面白くなくなったせいでもあろうし、表裏一体なのかもしれぬな。少なくとも、いまあらためて見直すべきときが来たと思いたい)※池田秀一の声で読んでください(笑)

評伝シャア・アズナブル 《赤い彗星》の軌跡 上巻 Book 評伝シャア・アズナブル 《赤い彗星》の軌跡 上巻

著者:皆川 ゆか
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

評伝シャア・アズナブル 《赤い彗星》の軌跡 下巻 Book 評伝シャア・アズナブル 《赤い彗星》の軌跡 下巻

著者:皆川 ゆか
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

|

« 06年の総括パート3 | トップページ | メイド刑事3 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 評伝シャア・アズナブル <赤い彗星>の軌跡(上・下):

« 06年の総括パート3 | トップページ | メイド刑事3 »