ぱいかじ南海作戦
相変わらずのシーナ節のヘンテコ小説ではあるのだけれど、現代の南の島を舞台にしたサバイバル(?)小説ということで、いつもとはちょっと勝手の違う感じはあった。
椎名誠の書く物語は、あやしい探検隊に代表される基本的にノーテンキなノンフィクションと、じっとりとした熱と湿と腐敗感(あるいは死)がまとわりついたフィクションとの、まったく相反する印象がある。今回はこれらがミックスされてしまっていて、南の島の破天荒な冒険譚、刹那的かつどーでもいーけんね的南国生活。とはなりえなかった。常にドロップアウトの(社会からのという意味ではなく、人としてのかなぁ)気配がつきまとっており、読んでいて、単純にワクワクドキドキできなかった。
もしかしたら、テント野宿生活なのに完全隔離独立の生活ではなく、常識社会に依存しているからそう感じるのだろうか。あるいは自分自身が、そういうドロップアウトに対してさほど羨ましさを感じないだけなのかもしれないけれど。南国島のノーテンキ生活自体は憧れてはいるんだけどなぁ。
ストーリー構成的に起承転結とはなっていないのが面白かった。序破急?違うか。
ぱいかじ南海作戦 著者:椎名 誠 |
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