強奪 箱根駅伝
面白かったといえば面白かった。でも、なんとなく一歩引いた目線で読んでしまい、正直ハラハラすることはなかった。
うまく説明できないのだけれど、語り口として、問題が発生しそれをどう解決するか。というハウダニットが弱いのではなかろうか。今、この問題を解決するために何をしなければならないのか。それに対してどう対処したのか。という観点における具体的な描き量が少ない。だから、なんとなく誘拐し、なんとなく要求が突きつけられ、なんとなく収束していった、というような印象になってしまう。そのせいで、読む側の熱の高まらなさにつながっているように感じた。
放り投げっぱなしの伏線も多く、主人公(?)都留と水野の関係、都留の過去、都留と幸田の関係など、重要なのだろうに、全然拾われておらず、クライマックスのレースシーンが盛り上がらないのもそのせいではなかろうか。
まあ、自分自身、駅伝に対してまったく思い入れがないというのが、はまらなかった一番の理由なのだろうけれど。だから、人の命とたかが駅伝だったらさっさと中止しちまえばいいじゃん、と思うしね。レースが、あるいはTV放送が、やめられないエクスキューズをきちんと書いて欲しかったなぁ。
強奪 箱根駅伝 著者:安東 能明 |
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