七不思議の作り方
一見、ホラーのようでありファンタジーのようでもある青春物語といえば、思い出されるのは恩田陸の「六番目の小夜子」であるが、本作も基本的なフォーマットはまったく一緒である。怪談的な謎があり、実はそれが人為的な作為であり、なおかつそこに不思議な香り/余韻が残る。そんなフレームはかなり近しい。もちろん、それを物語化するためのストーリーは、別のものだし、真似だとかいうつもりもない。オリジナリティはあると思うし、実際、かなり楽しく読めた。
その上で、不満を述べさせてもらうならば、やはりヘンな青臭さが鼻につくことだろうか。カタカナの用い方もこだわりがあるみたいだが、そこばかりが中途半端に目について気をとられてしまう。物語に集中して欲しいと願うのならば、通常用いられる書き方にすべきでは? また食にまつわる部分での挿話(例えばおにぎり)だが、微笑ましくはあるけれど、そんなに奇妙奇天烈ではない。客観的にヘンとフツーがよめていないのかな、と思えてしまう。むしろもっとさらっと書き過ごしてくれたら「ひねくれ加減が心地よいなぁ」と思えるのに、自分でハードルを上げちゃってる感を受けてしまっている。
その他、主人公のキレやすい性格も活きていないし、そういう端々の処理での甘さが、手馴れていないように思えてしまうのだなぁ。
しかしながら。繰り返しになるが、全体としての印象は悪くないのだ。上記の不満も、もしかしたら、自分の独りよがり的な意見でしかないかもしれないしね。まあ、いろいろな見かたがあるんだなぁ程度に思ってください。
七不思議の作り方 著者:佐竹 彬 |
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コメント
やはり、人により感想や評価は違うねえ。
http://revilog.com/lightnovel/2006/11/010437.html
趣味的には、GDCLの方が自分の感覚に近い気がするので、ちょっと読んでみようかと考え中。
投稿: cherryh | 2006年11月11日 (土) 02時14分