影踏みシティ
叙情派ですねぇ。日常に不思議が紛れ込んでくるファンタジーは好きですな。一編いっぺんが長くなく、ちょっとしたエピソード、風景の断片を切り出したようなつくりになっています。だからその分、物語としての盛り上がりや食い足りなさがあるのは仕方ないのですが、別にドラマティックだからいいってわけでもないですからね。
そんなわけで、面白かったことを前置きにしつつ、不満を述べてみると、だ。話や雰囲気が古いんだよね。一応、現代(平成だな)を舞台としているにもかかわらず、端々に古臭さを感じる。家出少年が放浪の旅に出るという設定からはじまって、その理由が家族の不和(しかも現代的な屈折がない)だったり、旅先のエピソードも大時代的だし。ユーレイのファッションセンスも80年代。台風のネーミングも昭和風だし。
それらの引っかかりは作品の出来不出来とは関係ないのだけれど、だからこそ「ん?」と思ってしまうのかもしれないね。
影踏みシティ 著者:あらい りゅうじ |
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