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2006年9月11日 (月)

電撃!!イージス5 (1&2)

基本的には、システマチックに著作されたライトノベルであることは紛れもない事実である。つまり、基本的な設定からキャラクター接待、背景など、ライトノベル(あるいは萌え小説)として、意図的に設計されているのだ。これはこの小説の成立由来自体が、あとがきにもあるとおり、ゲームであったということから容易に推察されよう。故にストーリー展開もまた容易に推測できるもので、定番的、ステレオタイプのそれであるといえる。

じゃあ、だからどうなんですか? という感想になるんだけれども、いつもならばステレオタイプはダメじゃん、と云ってはばからない自分なのだが、今回については、意外や意外、結構楽しく読んでしまったのであった。それはやはり作者のリーダビリティに負う所大で、登場人物が、実に生き生きと描かれているせいなのだ。本来典型的設定において没個性になるべき彼らを魅力あるキャラへと昇華できている。読んでいてそう思ったのだった。

例えば、クライマックスでの展開は、どう見ても「長門@ハルヒ」でしかないし、一歩引いて読めば単なるセルフパロディでしかないのかもしれないが、それでも許せてしまうのは、それをフォローする個々のキャラクターが、己のロールを守りつつも、ロール自体にやらされている感が出ないようになっているせいだと思う。多分、一歩突っ込んだ暴走表現(例えばガニメーデスなどがそれだ)がアッパーなドライブ感を生んでいるのかもしれない。

もうひとつ重要なのは、DT的妄想充足型ではなく、(少なくとも登場人物的には)ストイックであることも好意的印象につながっている。リアリティない設定でぐちゃぐちゃな関係を展開されるのが嫌いなんだよなぁ。だから、リアルライフを描こうとするのではなく萌えねらいの小説ならば、朴念仁くらいがちょうどいいと思うのだよね。

あとは、だらだらと巻を重ねず、2巻で完結という潔さも好意的な感想につながっているかもしれない。

繰り返すが、ステレオタイプの小説でよしとするつもりは毛頭ない。むしろ多少若書きでも雑でもいいから、オリジナルなものを生み出そうとする意欲を自分は評価していきたいし、それは今後も変わらないだろう。しかし、それはそれとして、今回はフロックとして、読む前の予断からは、かなり外れて堪能できた作品であったのだと告白しておきたい。

(単に萌え的設定からすると、ツンデレがヒロインになるのはどうかと思うんだけどね。自分、天然に弱いもんでねぇ)

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