ヤクザガール・ミサイルハート
ライトノベルジャンルとしての分類としては、ツンデレ属性の美少女による超人バトル小説。まんまのベタネタである。普段なら却下なのだが。なぜか惹きつけられてしまうんだよなぁ。魅力があるんだよなぁ。大戦に負けなかった日本というパラレルワールド。ヤクザの抗争。異世界のテクノロジー(あるいは魔術)。ガジェットとして王道(?)であるがために、作者の文章力が如実に問われるところだが、ヘンにライトノベル的萌えに逃げず、真っ直ぐに向き合っている気がしたのだ。
それは登場人物にもいえる。話自体は物凄く殺伐としているにもかかわらず、しかしとてつもなく健全な物語だなぁ、という印象なのだが、それは、登場人物が鬱屈せず、屈折せず、自己と他者に正面から向き合っている。向き合って、考えて答えを出しているのだ。自分は、レゾンテートルに悩む若者の成長痛小説を愛する屈折した人間ではあるが、だからこそ本作のように真っ正直な話に出会うとその清々しさに惚れてしまったりするのだな(もっとも設定自体はかなり屈折しているけれどね)。
だからといって不満がないわけではなく、せっかくヤクザの鉄砲玉/アサシンという異能者の最上級としてのミサイルが、絵づら的には美しいかもしれないけれど、思ったよりも究極の暗殺者的ではない肩透かしは、あれれだったりする。ま、でもそれは自分の好みの範疇なんだろうな。
このまま、面白い小説となるのか、あるいは、普通のライトノベルに堕してしまうのか。ちょっと楽しみである。
ヤクザガール・ミサイルハート 著者:元長 柾木 |
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