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2006年8月20日 (日)

オオカミさんと七人の仲間たち

合法非合法を問わず、ヘンな活動を行う部活動を描く小説を、部活小説と呼称したい。既存作品で典型的な部活モノの例としては、(マンガだけど)光画部(by究極超人あ~る)であろうし、最近では階段部(by学校の階段)を挙げることができる。あるいは(映画だけど)男子シンクロ部(byウォーターボーイズ)もこの系譜に入るといってもよいだろう。
部活小説の定義において重要なのは、その活動が現実にある一般的な部活の範疇には収まりきらないことだと考える。つまり本来ありえないバカバカしい設定を、もしそれが成立するならばどういう状況が派生しうるのか、というシミュレーションがキーポイントとなるのであり、そこに新機軸が生まれるのである。また、これは結果的にそうなってしまうのかもしれないが、押し出しの強い濃いキャラが集まることになるため、必然的にアッパー系のスラップスティックな小説となりがちである。だからこそドライブ感が生まれ、読んでいてその勢いを楽しむことができるのだ。
ともあれ、部活小説の具体的な定義の検証については、あらためて行うつもりではあるが、いわゆるスポ根モノとも青春モノとも微妙に異なるバカだけどピュアな暴走モラトリアムを堪能する小説であるということだ。

さて。本作だが、実にライトノベル的な童話モチーフの部活小説だった。キャラ設定優先でストーリーが後付されていったのであろう。予想外の展開に翻弄されるということはなかったが、その分安心して楽しんでしまった。本来、自分は、こういったキャラ萌え至上主義ライトノベル的コンセプト小説についてはかなり否定的な意見を持っているのだけれど、なぜか比較的素直な気持ちで読むことだできた。それは、(いい意味で)アホな設定とくだらないストーリーではあっても、文章表現的には、実はそれなりに落ち着いていて適確な文体で読みやすく、いやみがなかったせいでもあろう。ということは、普通の文章を提供できるということは実はすごい才能なのだ。と思う。

まあ、最終話の少々マジが入ってしまう部分については、ちょっとテレが入ってしまっているようで、そうじゃなくて最後の最後までバカで突っ切って欲しかったなぁとも思ったが、そこは筆が走りすぎたということで、まあいいか。あと、ちょっとだけ引っかかったのは第2話で性に対してあまりにもオープンだったこと。現実はそうだったとしても、小説はあくまでも幻想なので、特にライトノベルという分野においては、もっと婉曲であって欲しかったなぁと思わないでもない。

というわけで、多分「これは違うよ」といわれてしまいそうだが、自分としてはけっこう満足している。

Book オオカミさんと七人の仲間たち

著者:沖田 雅
販売元:メディアワークス
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