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2006年8月21日 (月)

ここは魔法少年育成センター

別にダメじゃないんだけど、なんか釈然としない話でした。それは「物語」としてではなく、書きっぷりの面から感じたのかもしれません。

例えば前半部、主人公がヘンにひねた自意識過剰で理由もなく鬱屈している書きかたになっているのは、お話として吸引力を多分に殺いでいるように思います。もちろんそういう書きかたによって成立する話も少なからずありますが、この物語には、それは似つかわしくないように思います。戸惑いはあっても、それを他者への非難や排他的な精神状態に持っていくのはどうか、ということです。おそらく中盤での、主人公の心の変化につなげたかったのかもしれないのですが、あまり効果はあがっていないように感じました。

また、これは好き好きなのかもしれませんが、時事ネタを散りばめることによる同時代性、共感性を感じさせようとするのは、風化劣化が激しくて諸刃の剣なのですが、このようなその時代を切り取ることに意味/意図がない小説の場合、中途半端に時代がずれるとかなりさぶいものになってしまうのです。あまり頻繁に流行りモノを書き込んでしまうと、単に読者への媚にみえてしまいさぶさがさらに増してしまうのですね。

言葉遊び的なネーミングセンスは、基本的には嫌いじゃないんですが、そのおふざけ感と、語り口の重さとのアンマッチも気にかかるところです。

いずれにせよ、再刊の小説ですし、そこらへんは割り引いて読んではいるのですが、まあ、ちょっとねぇ。という感じでした。悪くはないんですけどね。

ここは魔法少年育成センター Book ここは魔法少年育成センター

著者:久美 沙織
販売元:ソフトバンククリエイティブ
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