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2006年8月13日 (日)

ABARA(上・下)

物語のジャンルとしては最終戦争モノ、終末モノ。になるのだろうか。世界が一瞬で崩壊していく姿を
アンチドラマティックに描いている。重要な登場人物が容赦なく死んでいく。物語としての盛り上げのセオリーからは若干外れた冷静さがある(ストーリー自体は荒々しいのだけれど)。

寄生体による超人的な力とモンスターとの闘いという、ありがちな設定を、面白くしているのは、説明がないこと。これにより、寓意的、神話的な雰囲気を醸し出している。もちろん、言葉の選択が既存的ではない神話を励起させる点もあるだろう。さらに、設定などが最後の最後まで一切説明されず、一気にカタストロフに突き進む。結局、原因も結末もなく、大きな神話の最終部分の断片を絵に起こしたという感じなのかもしれない。

絵的な設定としてはギーガー調のモンスターであり、そういう意味において映画エイリアンの前史的な読み解き方をしようと思えばできるし、世界崩壊と魔人という設定からデビルマンとの類似性を見い出す事もできるだろう。それもこれも説明がないせいでもあるのだが、そんな比較論的な観かたをせずにひたすら絵ヂカラを堪能するべき話なのだろうと思う。

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