バッテリー
自分は野球が嫌いなのだ。それは日本の野球の持つ、特に高校野球の持つ、さわやかな汗、努力と勝利、というような上っ面だけの健康を売り物にしようとする態度が嫌いなせいなのだ。そしてそれはイコール、スポ根が嫌いということでもある。だから、世間において評判がよかろうと、読む前はかなり牽制していた点があったのは事実である。そして、読み終えてみて、読まず嫌いはよくないな、反省しなきゃいかんな。と思ったのもまた真実である。要するに面白かったのである。
この本で描かれているのは、努力と根性ではなく、才能ある者の孤高さと社会性との折り合いのつけ方について煩悶する、若さ故の葛藤の物語である。その登場人物たちの関わりあいを描く上での必須要件として野球があるのだろう。そう読み取った。
ただし、これ一冊では話はまだ導入部でしかない。第一、「バッテリー」というタイトルにも関わらず、バッテリーの物語にまで到達していない。早く続きを読まねば、というのが一番の感想である。
バッテリー 著者:あさの あつこ |
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