世界は悪魔で満ちている?
ライトノベルっぽいようで、実際にはちょっと異質な文体なのが面白かった。神の視点のボケツッコミを内包している、いや、前面にフィーチャーされているといってもいい。読みはじめは少々戸惑ったが、慣れるとかなり面白い。いや、実際、これは文章巧者だと思う。普通の物語にはミスマッチだけど、このようなバカ話にはあっているといえる。
じゃあ、これはどんなお話なのよってことになると、実はこれが、あってなきが如しで。天使と悪魔が混在している社会という設定を前提にしているが、なおがつそれがストーリー全体にあまり絡まない。絡んではいるのだけれど、それが何かを解決するとか、何かがどう変わるとか、そういうの一切なし! 結局、何のことはない。変化球ツンデレラブコメなんだよ。
クライマックスも、え? これがオチ? みたいな感じで、主人公マコっちゃんの正体(たぶん脱天使だよね)とか悪魔集会とか、そういう設定の展開については一切ない。まさにアンチクライマックス主義。違うか。
でもそれでいいのだと思う。この物語は刹那的な渦きを励起させるプチエロと主人公ふたりのツンデレ漫才、そしてなによりも作者自身のひとり漫才を堪能する、そういう話だと思うからだ。
しかし冒頭の尻尾攻撃のシークエンスはものごっつい渦きまくりですよ。あからさまにエロチックだもんね。
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コメント
ちょっとだけ補足。
別にこの作品が佳作だとか傑作だとか思っているわけでもないのです。その区別でいけば怪作、かなぁ。小説、としては機能していないなとは思うし、2番もないとも思います。
なんとなくだけど、宮藤官九郎脚本のようなどうでも肩透かしなヨタ話が散りばめられたオフビート感が気に入ったのかもしれませんね。(もっともそう感じたのは主人公がマコトだからかもしれないけれどさ)
投稿: 管理人 | 2006年7月14日 (金) 12時58分