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2006年6月12日 (月)

狼と香辛料(2)

注意!文中、ストーリー展開を推測させてしまうかもしれない言及がありんす。

作者の経験値が上がったのか、読み手が(ということは自分が、だが)慣れてきたのか、ずいぶんと読みやすくなった。と書くとなんかすごくエラソーな云い回しではあるかや。簡単に云ってしまえば、非常に面白く堪能したってこと。野望と希望と陰謀が渦巻く商人の、取り引き駆け引き割り引きに満ちたストーリーが展開される。剣も魔法もないけれど、十分にスペクタクルであり、ワクワクドキドキに満ちている。

ストーリーのフレームをみてしまうと、実のところ前作と同様で、主人公が一山当てそれが契機となって窮地に陥り、ホロが真の姿に変わることで形勢が逆転して勝利を得る。というパターンなのである。が、そのバリエーションについては十分に考えられているし、リーダビリティが高くなっている分、しっかり安心して楽しめるようになっているのだ。上手い。

それにしても、本来主人公になりえない職業に商店を、じゃなくて焦点を当てることでここまで新鮮なファンタジーを構築できるのだなぁ。まだまだファンタジーの可能性はあるのだなぁ、と思ったです。それは逆説的には安直にRPGゲームを再文章化した縮小再生産的な剣と魔法ファンタジーが流布していることへの嘆息でもあるのだが、ともあれ、次回も期待できる作家であり作品であるでしょう。(もっとも同じパターンばかり続けちゃあよくないわいな)

あ、もひとつ。潔いなぁ、と思った点。タイトルが「2」だけでサブタイトルをくっつけてないところ。ヘンに修飾なくてもいいじゃんっつう感じが素敵ですな。

Book 狼と香辛料 (2)

著者:支倉 凍砂
販売元:メディアワークス
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» 『狼と香辛料〈2〉』 [Cherryh's blog annex]
『狼と香辛料〈2〉』作者: 支倉 凍砂出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2006/06メディア: 文庫 『狼と香辛料』続編。 続編らしく(?)、基本的な話の構造というかストーリーの流れというか、その辺は前作と同じ感じ。とはいえ、ある程度、話の落としどころは予測させつつ、その限られた幅でいかにエピソードを盛り込み、表現を膨らませて話に厚味を持たせられるかという点で、よくできてると思う。 別の視点で、獣人娘を出しながら、変に萌え堕さないところもいい。 というわけで、かなり気... [続きを読む]

受信: 2006年7月18日 (火) 00時10分

» 狼と香辛料(3) [グッドクール総研別棟書架]
3作目ともなるとだいぶ安定感も出てきて、安心して楽しむことができた。主人公と狼神 [続きを読む]

受信: 2006年10月14日 (土) 12時34分

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