狼と香辛料(2)
注意!文中、ストーリー展開を推測させてしまうかもしれない言及がありんす。
作者の経験値が上がったのか、読み手が(ということは自分が、だが)慣れてきたのか、ずいぶんと読みやすくなった。と書くとなんかすごくエラソーな云い回しではあるかや。簡単に云ってしまえば、非常に面白く堪能したってこと。野望と希望と陰謀が渦巻く商人の、取り引き駆け引き割り引きに満ちたストーリーが展開される。剣も魔法もないけれど、十分にスペクタクルであり、ワクワクドキドキに満ちている。
ストーリーのフレームをみてしまうと、実のところ前作と同様で、主人公が一山当てそれが契機となって窮地に陥り、ホロが真の姿に変わることで形勢が逆転して勝利を得る。というパターンなのである。が、そのバリエーションについては十分に考えられているし、リーダビリティが高くなっている分、しっかり安心して楽しめるようになっているのだ。上手い。
それにしても、本来主人公になりえない職業に商店を、じゃなくて焦点を当てることでここまで新鮮なファンタジーを構築できるのだなぁ。まだまだファンタジーの可能性はあるのだなぁ、と思ったです。それは逆説的には安直にRPGゲームを再文章化した縮小再生産的な剣と魔法ファンタジーが流布していることへの嘆息でもあるのだが、ともあれ、次回も期待できる作家であり作品であるでしょう。(もっとも同じパターンばかり続けちゃあよくないわいな)
あ、もひとつ。潔いなぁ、と思った点。タイトルが「2」だけでサブタイトルをくっつけてないところ。ヘンに修飾なくてもいいじゃんっつう感じが素敵ですな。
狼と香辛料 (2) 著者:支倉 凍砂 |
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