フェルマーの最終定理
数論という世界や証明ステップについては、そんなに(というかほとんど)理解できない中ではあるが、基本定理の確立、証明に向けて取り組む数学者の生きざまは非常にダイナミックかつドラマチックで、とても引き込まれた。
自分の印象としては、数理とは、突き詰めると(数字をやりくりするという意味での)数学ではなく、(数々の論理を組み合わせて成立させる)パズルのようなもので、だからこそ面白いのである。が、しかし、高度に展開される概念数式は正直、呪文でしかない。基本的に曖昧な仮説とその論証、そして新仮説への提示、という果てない真理への探究としての複合(総合か?)学問である生物学を至高の科学と考えている自分としてはまったく別世界の物語ではある。とはいいつつ、絶対揺るがない真理への希求という精神は理の学問を選択した者としてあい通じるのだ。だからなるほど、と思うところは実に多かったし、実感できたのだろう。
本書の成功要因は本文中に極力数式を持ち込まないというところにあったのではないだろうか。数式自体は嫌いでもないんだけれど、やっぱり文章を読み進める上では、ストップ要因ではあるのでね。
あと、「数学はエレガントでなければならない」という言葉を久々に見たよね。高校の時には矢野健太郎の数学読み物でしょっちゅう遭遇していたのだけれどね。
フェルマーの最終定理 著者:サイモン シン |
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