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2006年6月27日 (火)

新カテゴリー設置しました

基本的に自分の感想日記を勝手気ままに書くというコンセプトなので、自分用語(つまり造語だな)を使用することが、ままあることを指摘されました。まあ、そのとおりなのだけれど、少しはポピュラリティも確保してみようか、ということで、自分がよく使う(?)造語等について、説明するカテゴリーを設けてみます。

(実は、厚めの本をやっつけていてなかなか感想が書けないときのツナギとしての目論見もありますが、自分から手の内、バラしちゃっちゃダメじゃん)

といいつつ、今回は予告です。ダメじゃん。

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涼宮ハルヒの動揺

シリーズ内での位置づけとしては、インターミッション。サイドエピソード集。そんな感じか? いずれにせよ、大ネタを振り回す感じのストーリー構築ではなく、本当に些細な日常(?)のドタバタを活写した巻だった。

一言でいって、ずばり、今回は部活小説! というジャンルがあるのかどうかはあずかり知らぬが、まあ概ね想像はつくだろ? 超能力とか不思議とかそういった仕掛けのない学園祭のちょっとしたエピソードに、普通に素敵を感じた。そして前半の本当になんの事件も起こらない、学園祭の持つ非日常的な日常さ加減にキュンときたな。

それにしても、長門の占めるウェイトがどんどん重くなっている。それは多分、万能人形が不器用な人間に代わってくビルドゥングス的ポジションが、書きやすいということもあるのだろう。自分的には、みくる推し(いや、そういうキャラ推し小説として読んでいるわけでは、もちろん、けして、絶対に、ないのだが)なのは変わらないところではあるのだが、それでも長門というキャラクターをいじりたくなる気持ちは判るつもりだ。しかし、あまりにもそれはあからさまってのもなぁ、とも思うな。

そんなわけで、みくるに対するキョンの対応は、長門との関係もあって、作者は意図的にか無意識的かは知らんが、実存としての認識ではなく、実際に応対するべき対象ではなく、遠くから眺める対象萌え対象になっていて(古泉なみに判りにくい比喩だな、ようするに人扱いしてないってことさ)、そのビミョーな距離感はちょっと不満なのだよね。ま、ビジュアル以外役立たずなのは、明らかなんだけど(そういう設定だし)、それはちょっと違うなぁと思うわけですよ。だからラストエピソードでひさしぶりにみくるさん主役なのには、ギュンギュンきたっす。自分も間接キッスしてほしいっす。なんちゃって。

とまあそんな感じの霊感ヤマカン第6巻。でしたとさ。

涼宮ハルヒの動揺 Book 涼宮ハルヒの動揺

著者:谷川 流
販売元:角川書店
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2006年6月24日 (土)

さよなら絶望先生(4)

絶望した! 買ってから読み終わるのに2週間もかかる自分に絶望した!

あいかわらず天に唾吐く自虐と他虐っぷり。社会派だし。けしてメジャーにはなれない面白さだなぁ。

今回特に思ったのは(特に絵柄が)意図的に電波っぽくなっていってるなぁってところ。かなぁ。

さよなら絶望先生 4 (4) Book さよなら絶望先生 4 (4)

著者:久米田 康治
販売元:講談社
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ぷいぷい!

非常に典型的なライトノベルだったなぁ。学園生活と伝奇的(魔法的?)設定と恋模様、そしてバトルシーン。ああなんと定食的。しかもヒロインは、いまや一大トレンドを形成するメイドである。萌えドコロが非常に明快である。新機軸っぽいのはメイドがオレサマ系(いやヒロインだからオジョーサマ系か)だってことか。まあそんな居丈高ぶりが、萌えのフックになっているんだけれどね。

と、まわりくどく書いてしまったが、つまりツンデレの王道ってことですよね。

小説としてみた場合、ヒーローのキャラが不安定だとか、アラビアンな設定がとってつけたようだとか、いろいろツッコミどころはあるのだけれど、まあそういうことを読ませようとしている話ではないので、気楽に楽しんでしまった。

ところで、オンナノコが「やわらかくって華奢」という言及が数か所あり、まあそれは確かにそのとおりだし、ツンデレ関係構築のためのフックであるのは承知しているが、そんなに繰り返し主張しなくてもいいんじゃないっすか?

ぷいぷい! Book ぷいぷい!

著者:夏 緑
販売元:メディアファクトリー
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2006年6月22日 (木)

百万の手

注意! 文中に本作の根幹に関わる記述を思いっきりしております。

全体的に分断感があるというか、設定の食いつぶし感があるというか。前半と後半で話を動かす動力が変わってしまっている。もっと具体的に云えば、死んだ友人がケータイに憑依するという設定が全体のストーリーに対してなんら効果を発揮していない。特に後半、まったく伏線にもなっておらず、なんのために全体の流れを崩すような設定を導入したのかよくわからないのだった。

また、根幹となるミステリーにしても、受精卵移植がどうのこうのという設定はいかにも中学生の突飛な発想で、普通ならばそれはミスリードへのフックでしかなく、もっと常識的かつ論理的な真の謎に結びついていくほうというような流れとなるのだろうけれど、まさにそれが真相だったりするというリアリティのブレにちょっと疑問符を感じた。もっともそのあと、さらにクローニングにまで話が広がってしまい、当初の突飛さは薄れてしまっているのだが。まさかそれがねらいだったのか?

フーダニットやホワイダニットについて、それが打算的な欲望によるものではなく人類の未来のためということについては、視点の変化、相対化が感じられてけっこう好感度が高い。そして、その考えも実は歪なのだと吹き飛ばしてしまえる健全な感覚もしっかりと描かれていて、なにより鬱屈がないのはいい。

とそんな感じの話なのだが、とにかくキャラクターやエピソードの描きかたに浮ついた感じがなく、リーダビリティがあるため、ややネタの詰め込みすぎのきらいはあるが破綻している感じはない。てなわけで楽しく読むことができたっす。

百万の手 Book 百万の手

著者:畠中 恵
販売元:東京創元社
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2006年6月20日 (火)

ウォー・ジェネレーション 放課後防衛隊

なんかビミョーな印象の話だった。面白いんだか、つまらないんだか、ありきたりなんだか、独創的なんだか、なんか、ビミョー。

いや、実際はすごく典型的な物語で、普通だったら凡庸の一言で切り捨ててしまうところなのだが、なんとなくひきつけられるものがある。それはもしかしたら単にイラストのSFスーツにヤラレタだけなのかもしれないが、しかし、そんな単純にOK/NGを認識してはいないつもりなんだけどなぁ。

正直、自分でももっときっぱりダメだししてもいいかもとは思うんだけどね。例えば、「!」マークの多用とか、「おのまとぺ」の乱用とか、自分としてはどうかと思う文体といい、秘密部隊なのにインタネットで情報丸見え(ということは敵にもということ)な情報管理体制などの設定の甘さといい、ああ本当にダメだしポイントは山のようにあるんだけど。

もしかしたら、戦う美少女系の典型的な設定が醸しだす全編に漂う懐かしい感じのせいかもしれない。しかも「今」のライトノベルとは違う感じ。うまく伝えられないのだけれど、そんなビミョーな感じが、妙に気にかかっている。というわけでけしてお薦めはするつもりはないけれど、そういう話もあるんだなぁ、ということは伝えておきたいわけです。

ウォー・ジェネレーション ~放課後防衛隊~ Book ウォー・ジェネレーション ~放課後防衛隊~

著者:柿沼 秀樹
販売元:ソフトバンククリエイティブ
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2006年6月19日 (月)

たましいの反抗記 すてるがかち!

面白かったわけじゃあないが、つまらなくはなかった。正しくは興味深かった。先行作品に引き寄せて語れば、蓬莱学園的舞台設定で指輪物語的ストーリー展開をするとどうなるか? という大いなる実験に立ち会う興味である。いや実際、まったくそういう話なのだから、ビックリである。しかも必要とは思えない風呂シーン等の萌えシロを投入して、それ系の読者にもアピール。みたいな部分もあり、もうどーとでもしてくれという感想だ。てなわけで、とりあえずは一気呵成に読みきったのではある。

それにしても文章的にはどうですかね? 科白の羅列によるストーリー進行はいいんだけれど、その科白があまりにもなにも説明しておらず、その場面でなにが起きているのか読者に伝わってこないというのはよろしくないなぁ。まったくの説明科白は鼻白むが、地の文がない以上、科白文で多少なりともその場面の状況とか道場人物の心情とか書かないと、作者の自己満足的な印象だけ残ってしまって、伝えるべきことが伝わらないと思うのだが。

しかし驚いたのは最後の最後でスール制度まで導入してきたこと。やりすぎだよ!

とりあえず、次回「二つの塔(笑)」に続くのですかね?

たましいの反抗記 すてるがかち! Book たましいの反抗記 すてるがかち!

著者:水城 正太郎
販売元:富士見書房
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ブレイブ・ストーリー(上・中・下)

一義的にはすごく王道のRPG系ヒロイックファンタジー。だもんで異世界編に移る前の導入部としての現実世界の描写が延々と続くことに対して、正直不要なんじゃないの? とは思ったのですよ。読んでいるうちはね。しかし読み終えてみて、その感想は逆に、現実世界をきちんと描いているからこそ、傑作足りえたのだと思うようになりました。

つまり異世界での物語があまりにも典型的であるのは、典型的で平板であったとしてもその背景にあるリアリティ(心や意思や志気が「ある」ための理由といってもいいか)をしっかりと構築することで、物語に命を吹き込むことができる。あるいは平板なゲーム的ストーリーにもリアルな意味がある。ということである。ゲーム好きの作家としてゲームのアイデンティティを弁明しようとしているともいえる。さらに云えば、作者の技量を持ってすればもっと独創的な異世界を作り出せそうなものを、あえて見知った世界観を用いてその裏にあるものを浮き彫りにしようとしているのかもしれない。と思ったっす。

典型的な、と書いたが、しかし実際には何か別の作品のどこかをパッチワークしたという感じとも違うのだ。どこかで見聞きしたことがある気がするけれど、はじめて出会う物語。そんな不思議な感じ。
そして、そこに描かれる中には死や憎しみがあり、人柱に関する扱いも逃げがない。ライトノベル的な甘さとは一線を画している(人死がリアルだというのではなく、その有様が、ね)。

エンディングがもっと泣かせに入るかと思ったけれど、意外とあっさりとした余韻であったのは意外でもあり、当然でもあり、なんかヘンに納得しました。

ところで、映画公開前に読むということを自分は基本的にしない。で、今回は安直にアニメにするのはいかがなものか、という思いがあり映画は観ないつもりだったので読んだわけですが、読み終わって逆に映画が観たくなったっす。それは文章の力で構築された物語をどう映像にしたのかが観たくなったから。
そしてキ・キーマの発音が自分には上手く出来ないからだっ(笑)!

ブレイブ・ストーリー (上) Book ブレイブ・ストーリー (上)

著者:宮部 みゆき
販売元:角川書店
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ブレイブ・ストーリー (中) Book ブレイブ・ストーリー (中)

著者:宮部 みゆき
販売元:角川書店
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ブレイブ・ストーリー (下) Book ブレイブ・ストーリー (下)

著者:宮部 みゆき
販売元:角川書店
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capeta(11)

ますます快調。熱いね、曽田ってば本当にこういう話を描かせるとスゴイっす。

面白いなぁと思うのは、チームカペタがそれぞれいろんなこと考えているけど(具体的には練習をしたほうが有利なのか?とかね)、それに正解を与えていないこと、さらにはどちらも考え方としてアリなのでは、と示唆していること。確かに現実において何が正解なのかきちんと答えが出てることなど、そう多くはない。その時その時に自分が最善と思うことをするしかないだけなのだ。しかし、創作の世界においては、特にスゴイ奴を描くマンガの世界においては、ヒーローは必ず正しい道を選択することが多い。だからこそ、本作のような描き方はともすれば不安なイメージとして表現されてしまうのだが、しかし全編をつつむ熱さがそれをカバーしている。ような気がするね。

次回新展開。なんですかね?

capeta(カペタ) 11 (11) Book capeta(カペタ) 11 (11)

著者:曽田 正人
販売元:講談社
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2006年6月15日 (木)

浪漫倶楽部(1)~(2)

さすがに10数年前の作品。絵づら的にもストーリー的にも、今の感覚からすればイケテナイっす。別にダメ作品とは思わないけれど、あまりにもストレートすぎて、まあクサイんだなぁ。それを許容できるかどうかがわかれめでしょうね。読み比べてみて、ARIAの持つ恥ずかしさの原型がわかった感じがしますね。ARIAの場合、恥ずかしいセリフを自己言及することが緩衝材となっているんだけど、この作品にはそれがないから。自分としてはギリギリアウトかなぁ?

といいつつ、別につまらなくはないので機会があれば続きを読むつもりです。

浪漫倶楽部 2 (2) Book 浪漫倶楽部 2 (2)

著者:天野 こずえ
販売元:マッグガーデン
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浪漫倶楽部 1 (1) Book 浪漫倶楽部 1 (1)

著者:天野 こずえ
販売元:マッグガーデン
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2006年6月12日 (月)

狼と香辛料(2)

注意!文中、ストーリー展開を推測させてしまうかもしれない言及がありんす。

作者の経験値が上がったのか、読み手が(ということは自分が、だが)慣れてきたのか、ずいぶんと読みやすくなった。と書くとなんかすごくエラソーな云い回しではあるかや。簡単に云ってしまえば、非常に面白く堪能したってこと。野望と希望と陰謀が渦巻く商人の、取り引き駆け引き割り引きに満ちたストーリーが展開される。剣も魔法もないけれど、十分にスペクタクルであり、ワクワクドキドキに満ちている。

ストーリーのフレームをみてしまうと、実のところ前作と同様で、主人公が一山当てそれが契機となって窮地に陥り、ホロが真の姿に変わることで形勢が逆転して勝利を得る。というパターンなのである。が、そのバリエーションについては十分に考えられているし、リーダビリティが高くなっている分、しっかり安心して楽しめるようになっているのだ。上手い。

それにしても、本来主人公になりえない職業に商店を、じゃなくて焦点を当てることでここまで新鮮なファンタジーを構築できるのだなぁ。まだまだファンタジーの可能性はあるのだなぁ、と思ったです。それは逆説的には安直にRPGゲームを再文章化した縮小再生産的な剣と魔法ファンタジーが流布していることへの嘆息でもあるのだが、ともあれ、次回も期待できる作家であり作品であるでしょう。(もっとも同じパターンばかり続けちゃあよくないわいな)

あ、もひとつ。潔いなぁ、と思った点。タイトルが「2」だけでサブタイトルをくっつけてないところ。ヘンに修飾なくてもいいじゃんっつう感じが素敵ですな。

Book 狼と香辛料 (2)

著者:支倉 凍砂
販売元:メディアワークス
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2006年6月11日 (日)

仕切るの? 春日部さん(1)~(2)

超くだらねー! ひたすらに繰り広げられるシモネタの連発。しかもその質たるやウ○コチ○コレベル。ま、実際にはもっとオトナ(?)のネタではあるのだけれど、ま正直云って男子中学生の発想なのだった。

そして自分はそんなDTPあふれるくだらなさがダイスキです! 絵柄もけして上手いというわけでもないし、残るものがあるわけでもないけれど、ページをめくる度に瞬発的に苦笑して、本を閉じたらキレイさっぱり忘れてしまえる本も必要なのですよ?

仕切るの?春日部さん (2) Book 仕切るの?春日部さん (2)

著者:竹内 元紀
販売元:角川書店
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仕切るの? 春日部さん (1) Book 仕切るの? 春日部さん (1)

著者:竹内 元紀
販売元:角川書店
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2006年6月 9日 (金)

涼宮ハルヒの暴走

話はさらに動いていく。SOS団の所業が秘事でなくなっていく展開にはちょっと意表をつかれた。いや、クローズドな世界(イコールSOS団だが)であるのは変わらないのだけれど、単なる面白い連中の、無限にループするモラトリアムな日常から変化しようとしている。最終的にどういう話になってくのかは乞うご期待。少なくとも惰性で延々と続く学園祭前夜な物語に終始するつもりだけはなさそうだ。

さて。今回の第1話。夏休みループ編はまさに学園祭前夜ストーリーの名作「ビューティフルドリーマー」そのまんまのネタだった。が、しかし、それが単なる同ネタの模倣系に終わらないのは、作者の言葉チョイスのセンスにあるんだろう。
例えば、ループの回数が5桁の数値をさらっと云ってしまったり、派生するバリエーション回数を簡単に列挙すること。そこに示される数の多さが、単に量を示してるのではなく、登場人物たちの朱関帝行為の相対化を無意識に表現しているのだ。深読みかもしれないが、感じる。云ってる意味がよく判らないかもしれないが、書いてる自分だってよくわからないまま書いているんだ。なんとなくニュアンスで理解してもらえればそれでいいさ。
とりあえず「SFとはセンスオブワンダーがあるかどうか」ってことに尽きるのだが、そのセンスとは発想力であり表現力であり、つまりは努力で身につくよくつくモノではないと自分は考えている。逆に云えば、センスのないヤツはどうやっても「なるほどっ!」と唸らせるようなSF話は書けない。ということだ。(いわゆるSF界の大御所と呼ばれるようになった作家でも、単なる架空歴史小説でしかなかったり雰囲気伝奇小説でしかなかったりするからね)
書いてみて思ったのだが、センスの有無とは、ある意味萌えの機能にも近いのかもしれない。なにか凄そうだ、ということを勝手に読み手が妄想して読み込んでしまうという意味においてね。

というわけで、ハルヒシリーズの基本的スタンスは非日常的学園青春純愛小説(小学生並みの?)だが、今回は以上のようにそのSF性について言及してみたわけです。
といってもあまりにもベタで、そのままの設定では素人でも書かんわ、というような大ネタではあるのですよ。正直なところね。だが、それをここまで貫き通すには余程の覚悟と筆力が必要なのだとは思う。あらゆるネタをぶち込んで展開させるワイドスクリーンバロックという手法は古くはベスター、最近ではシモンズあたりがやっているが、それをライトノベル的に実践するとこうなるってことなのかなぁ。と思うね。

ともあれ、そんなこんなでよく訳の判らない感想のまま次巻に続く。やれやれ。

涼宮ハルヒの暴走 Book 涼宮ハルヒの暴走

著者:谷川 流
販売元:角川書店
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のだめカンタービレ(15)

今回限定版での購入。別にマングースなんかさほどに欲しいわけじゃあなかったのだが、早く読みたかったからやむなく。。。 上手い商売だぜ。

さて、いよいよ佳境(?)。じゃねーか。いつものようにヘンタイさん大集合なクラシックギャグマンガですな。連載もダラダラと続いちゃいるが話は少しずつ進展してるし、そろそろクライマックスに向けて始動するような感じですかねぇ。いや、そうなってほしいという願望も込めてですがね。

それにしても千秋が羨ましい。たとえヘンタイでもカワイイカノジョといっつもじゃれあえてさ(ってフィクションのおバカマンガに、嫉妬してどーする!?)

のだめカンタービレ #15 (15) Book のだめカンタービレ #15 (15)

著者:二ノ宮 知子
販売元:講談社
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2006年6月 8日 (木)

涼宮ハルヒの消失

なるほどね。そういう展開ですか。基本的には、第1巻の物語のリピート、アナザーヴァージョン。つまり、キョンがいかにして自覚するかという話。

キョンの選択はまあ必然だよね。なにしろ元々、平凡な日常に対して思うところがあったヤツだから。どんなに翻弄されひどいめにあっていたとしても、そこにある日々がワクワクとドキドキならば。選ぶだろう。それは別に総天然色天使がいるからでも、寡黙な最強救世主がいるからでもないだろう(まあそれがブースターにはなっているのは否めないけどな)。自分だって、そんな学生生活なら(永遠に、はいやだが)モラトリアムしていたぜ、と思うよ、実際。だから、別にあらためて宣言するでもなく結論から逃げるわけでもなく、普通にエンターキーを押す。

しかしそうか長門かぁ。とりあえず自分の気持ちはまだ朝比奈さんにあるが、長門萌えするヤツの気持ちはわからんでもない。今回は長門がいかにあるか、の物語だからなぁ。ま、本当はそんなキャラ萌えな読み方ではなく、キョンのつっこみが好きなだけなんだ。本当よ。しかし若いなぁ。いろいろとね。

涼宮ハルヒの消失 Book 涼宮ハルヒの消失

著者:谷川 流
販売元:角川書店
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夏休み

淡々とした二組の夫婦のひと夏のさざ波。とゆーかまあ、ようするに夏休みの物語だ。さして大きな事件がおきるわけでもなく、というほど日常でもなく、なんとなく、の気分で起こった出来事と顛末。それは(他意はないが)幼さである。大人になる覚悟としての通過儀礼である。

それがなんで結婚後に訪れるのか? という疑問がないわけでもないが、現実にはまあ、どんなに社会人になっていたとしても、それはあくまでも外側の属性というだけで、内側の変化も一緒にあるわけじゃあない。実際、自分だって大人になんかなれてないし。ともあれ、そんな大人になることと、なにかを捨てること、との感覚が実に納得できてしまい、ちょっときゅんとした。

夏休み Book 夏休み

著者:中村 航
販売元:河出書房新社
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2006年6月 7日 (水)

スローモーション

佐藤多佳子の文章はいつも静謐で抑制された感覚がある。それが清々しい効果を発揮するのだが、場合によっては突き放した寒々しさになる場合もあるのだなぁ。ということを今回感じた。

あるビターな出来事を通じてそれにかかわった人の成長する姿を描いてはいるのだけれど、どうにも感情移入できないのだ。納得いかない感じ。
それは何のことはない、ニイチャンの生き方と人とのかかわり方に腹が立つせいなのだ。別に自分自身そんなに正しい生き方をしているわけでもないし、白々しく正論を吐くつもりもないのだが、己のダメッぷりに依存して他人を巻き込んで平気なタイプってダメなんだよ。ダメならダメでいいから、人を巻き込まないでほしいのだ。人を不幸のスパイラルに巻き込むような人間はキライなのだ。

というわけで、ストーリー的には全然ダメだったのだが、そのような登場人物に対する感情を励起させる筆力がある作者の力はいつもながらにだが凄い。と思う。まあ、できるならもっと読後の伸びやかな気持ちを抱かせてほしいなぁ、次回は。

スローモーション Book スローモーション

著者:佐藤 多佳子
販売元:ジャイブ
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負け組ジョシュアのガチンコ5番勝負!

とりあえず第1章のアームレスリングにトライする(そして当然負けまくる)主人公ジョシュアのダメ人間っぷりにヤラレる。人生負け犬のあがきっぷりを単純に笑える人には面白いお笑いドキュメンタリーなのだろうけれど、ダメキャラの自暴自棄でやけっぱちな行動にイタさを感じてしまい笑えない自分としては、どうしても引いちゃうのだった。

が。第3章相撲編から内容はすこぶる変化する。ダメはダメなりに、負けは負けなりに何かを得ていく。そこに書かれているのは、昨日よりは少しだけマシになった主人公であり、つまりは精神の成長の姿であろう。
以降、様々なバカな挑戦を繰り返していくしその動機も様々なのだが、決して自暴自棄からくる行動ではなく、生来の好奇心とチャレンジ魂が正しく働いているせい。と勝手に読み取った。そういった前向きな姿勢にはポジティブな力がある。だから読後感は至極心地よかった。

それにしても、そのような変化が起こった理由が、望むべく定職についたから。というのはちょいと考えさせられるなぁ。結局、夢だけじゃ食えない、食えれば夢も描けるということもんねぇ。

負け組ジョシュアのガチンコ5番勝負! Book 負け組ジョシュアのガチンコ5番勝負!

著者:酒井 泰介,ジョシュア・デイビス
販売元:早川書房
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2006年6月 5日 (月)

フェルマーの最終定理

数論という世界や証明ステップについては、そんなに(というかほとんど)理解できない中ではあるが、基本定理の確立、証明に向けて取り組む数学者の生きざまは非常にダイナミックかつドラマチックで、とても引き込まれた。

自分の印象としては、数理とは、突き詰めると(数字をやりくりするという意味での)数学ではなく、(数々の論理を組み合わせて成立させる)パズルのようなもので、だからこそ面白いのである。が、しかし、高度に展開される概念数式は正直、呪文でしかない。基本的に曖昧な仮説とその論証、そして新仮説への提示、という果てない真理への探究としての複合(総合か?)学問である生物学を至高の科学と考えている自分としてはまったく別世界の物語ではある。とはいいつつ、絶対揺るがない真理への希求という精神は理の学問を選択した者としてあい通じるのだ。だからなるほど、と思うところは実に多かったし、実感できたのだろう。

本書の成功要因は本文中に極力数式を持ち込まないというところにあったのではないだろうか。数式自体は嫌いでもないんだけれど、やっぱり文章を読み進める上では、ストップ要因ではあるのでね。

あと、「数学はエレガントでなければならない」という言葉を久々に見たよね。高校の時には矢野健太郎の数学読み物でしょっちゅう遭遇していたのだけれどね。

フェルマーの最終定理 Book フェルマーの最終定理

著者:サイモン シン
販売元:新潮社
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2006年6月 3日 (土)

亀井絵里写真集「17才」

キャメの魅力満載っ!

と書いたりすると、いかにもモーヲタっぽくていいのかもしれないが、どうでしょう? まあ、亀井推しなら買うべきなんだろうけれど(ちゅーか買ってる自分)、冷静にアイドル写真集としてみた場合、少なくとも傑作ではないなぁ、と思う。対象の「かわいさ」を切り取れていないというかね。なんか中途半端な感じ。

しかし見かたを変えて、17才の少女の今をそのまま切り取ったとするのならば、それはそれで成功しているのかもしれん、とも思う。子どもから大人に変わる途中の組換期で、姿かたちがアンバランスになっている真っ最中をそのまま写しこんである写真集だから。それはヒトの成長の必然だから、自分としてはアリ。まあしかし、マニアックな視点だな。

あと、プールの写真で曇天なのはいかにも寒そうで、どうかと思う。太陽待ちができなかったのか、はたまた意図的なのか。少なくとも表現として成功してないなぁ。と自分はそう感じた。

Book 亀井絵里写真集「17才」

販売元:ワニブックス
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制覇するフィロソフィア

よい! よいぞっ!
爽快、なのである。痛快、なのである。とんでもない飛び道具をワンアイディアで展開する豪腕こそがライトノベルの骨頂であるとするならば、これはまさにその有り様を具現しているのである。

えー、自分の脳内分類として、ジュブナイルは「大人が若者に向けて語る小説」であるのに対し、ライトノベルは「若者が若者に対して語る小説」という分けかたをしている。この場合の若者とは実年齢ではないのはいうまでもないのだが、それはそれとして、じゃあ「若者が語る“こと”」はなにか? それはつまり、肥大化した自意識過剰からくる痛み。であったり、逆に、過大な自己認識からくる大言壮語。であったりするわけだ。端的に云えば、何のことはない「青臭さの小説」である。しかしいずれにせよ中途半端では遺憾のであって、上げでも下げでも突き抜けることが重要。それが若さだし、そうじゃないと面白くないっしょ。

で、本作。バカ! バカはバカなりに力強い。パロディであろうとも、なんだろうと、突破していればそれは真であろう。

ところでさて。自分は実はかなりの青っちい理想主義者であることは知る人ぞ知るところであるが、理想主義者は往々にしてイデア論を信奉するのは自明の理。なので、今回の大ネタである哲理で、イデアを語られてしまうと、だね。それだけで、待ってましたとばかりに燃えが入ってしまうのである。冷静に読めば、かなり詭弁で胡散臭い設定なのだが、勢いで逡巡させないね。よくぞこんなバカを思いついたという一点でこれは傑作と言い切ってしまいたい。

後半、失速気味であったりもするのだが、ともあれ久々のバカ小説である。今後の展開が楽しみだ。

制覇するフィロソフィア Book 制覇するフィロソフィア

著者:定金 伸治
販売元:集英社
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2006年6月 1日 (木)

幻獣標本採集誌

前作同様の幻獣のミイラ標本図録集。竜や龍、悪魔などの伝説神話からの引用生命体や、ダジャレ系UMAは前回同様だか、バリエーションが多くなっている。また、今回は聖教からの引用「7つの大罪」の設定が面白かった。とにかくよく出来ているのだけれど、カニなどの外骨格系ミイラはちょっとつくりものっぽいかもしれないなぁ。いや、実際に生きていた生物のミイラなんでしょうけれど(笑)。

実物を見てみたいなぁ。

幻獣標本採集誌 Book 幻獣標本採集誌

著者:江本 創
販売元:パロル舎
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