ZOO(1)~(2)
てー。
いや、Z-。
じゃなくて、乙一。
なんだろう、面白いんだけどね。面白いんだけど、読むのがツライんだわ。
乙一作品の顕著な特徴のひとつに、身体の損傷・欠落・腐敗に対し露悪的なまでに露骨に表現するというところがあると思う。首がもげたり死体を玩んだり指を喰われたり、もうやりたい放題。ようするにスプラッタでありゴアであるわけだが、そういう痛さの表現は、ちょっと苦手なんですよ。昔は残虐表現(特にホラー映画)に対する好奇と求心はあったのだが、ここ最近と見に苦手になってきている。これが大人になったってことなん? 違うか。
とにかく、そんなわけでこの短編集を本質的じゃない部分で存分に楽しめなくなってしまった自分がちょっと悲しい。だってさ、一番キツイ作品は「SEVEN ROOMS」だと思うんだけど、でも、この話がもっとも完成度が高いだよ。不条理の恐怖と姉弟の情感が加味されてね。すごくいいんですよ。でも残虐表現にひいちゃって、心底楽しめていないんだよ。
ま、そんなタイプばかりの短編集ではなくて、「陽だまりの詩」の透明感のある哀感にくっときたり、怪談としてものごっつく完成度の高い「むかし夕日の公園で」など、どれも面白い。というわけで、本を読むときは体調も大事ってことですね。
ZOO (1) 著者:乙一 |
ZOO (2) 著者:乙一 |
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