夏期限定トロピカルパフェ事件
いかにもなんだかなぁといった感じの「小市民」シリーズなる呼称には、ちょっと腰が引けるのだが、それはそれ。好きなんだよね、これ。
自意識過剰で小賢しい二人が如何にして普通(=小市民)たるかという日々を抑えた筆致で描いている。そこが好き。若いっちゅーか、なんちゅーか。
しかし。よく考えるとだ。「小市民」っていってるけど、自らなろうとしてなれるもんじゃあないのよ。本当の小市民はそんなこと考えもしないし、むしろ小市民じゃないことを意識的に、あるいは無意識的に志向しているのが小市民だと思うんだけどね。とすればその時点で二人ははじめからごく普通の小市民なんだけど、それに気づかないのがまあ「若さ故の過ち」なのかなぁ。
(といいつつ、自らの高校時代を思い出して赤面する自分)
本格ミステリとしては、謎の深度はそれほどでもないが、提示と解決という一連の手続きが王道。短編部と長編部の入子構造もなるほどきれいだし、まとまりのいい本だと思う。
あとは、あれか。甘いものは嫌いじゃないけれど量は食わないので、夏休み中スイーツにつき合わされるのはきついね。よほど付加価値がないとね。
夏期限定トロピカルパフェ事件 著者:米澤 穂信 |
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