なんくるなく、ない―沖縄(ちょっとだけ奄美)旅の日記ほか
著者があとがきでも触れているとおり、これは旅行記ではないよね。不特定多数の誰かに読ませるように書かれていない、自分ための旅の記録だ。だからこそ、リアルな島を感じることができるのかもしれない。それはライフが描かれているからであろう。といいつつ、意識的に説明不足で、意図的にヤバンな文体にはクラクラきた。ステキすぎる。
沖縄に魅入られてしまった者のひとりとして、ページをめくる端から南の島への、そして自然へ(ネイチャーではなくナチュラルという意味での)の、想いが募るのであった。今、自分をとりまく様々な拘束を脱ぎ捨てて、あの暑い熱いマジックリアリズムの島へ。と、心を揺さぶるのであった。
ところで、自分の沖縄に対する心の有様だが、本の3分の2あたりに書かれている、内と外の関係を意識して沖縄の話が書けないでいる。というくだりには著しく同感する。自分ごときが語るべきことなのか。という戸惑いや気後れという感情は、どこかぬぐいきれずに引っかかっている。実際のところ、自分で勝手に屈託してるんだろうなとも思わないでもないが、単に「オキナワ、好き好き~!」みたいなことは云いづらい。そんな著者の気持ちがわかって、そうだよなぁ、と共感するのであった。
なんくるなく、ない―沖縄(ちょっとだけ奄美)旅の日記ほか 著者:よしもと ばなな |
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