ウルフ・タワー
表紙買いの1冊(ちゅーか4冊だが)である。久しぶりに読んだタニスリーではあったが、文明崩壊後のファンタジー世界であるとか、母子をはじめとする近親間の葛藤相克であるとか、まさにタニスリーっぽい内容で、三つ子の魂百までだなぁ、と思った。
結局のところ、愛する者を見い出すことによるダメな母親からの脱却という話なのだが、思わせぶりなわりにはさほどに深刻な内容ではなく、つまりはジュブナイルというジャンルを逸脱しないように抑えているんだろうなと思った。全体的には悪くはないのだが、話が転がりだすのが第2部以降で1冊目は若干つらいかとは思う。ちなみに一番好きな話は第2部の迷宮編。ただアイディア的にこれで1冊書ききるとは思わなかったなぁ。
つらいといえば、訳の文体で、なんかヘンにギャルっぽいチャカついた訳しかたをしているのがすごい鼻についた。ま、主人公の年齢設定や性格設定、そして日記形式の小説ということがあっての方法論なのだろうが、自分としては失敗してるんじゃないのかな、と思った。もっとさらっと普通な感じでよかったのではないかと思うが、まあ、人によっては親しみが持てると感じるのかもしれないし、むずかしいところではある。
ウルフ・タワーの掟―ウルフ・タワー〈第1話〉 著者:タニス リー |
ライズ 星の継ぎ人たち―ウルフ・タワー〈第2話〉 著者:タニス リー |
二人のクライディス―ウルフ・タワー〈第3話〉 著者:タニス リー |
翼を広げたプリンセス―ウルフ・タワー〈最終話〉 著者:タニス リー |
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