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2006年3月 8日 (水)

注意! 感想文中、ネタバレに結びつく可能性ある言及をしています

見事な警察小説である。ある種典型的な設定ではあるが人物の造形描写が上手く説得力がある。その造形力は主要人物だけに限らず端役にまで目くばりが届いているのだ。また本格推理として手がかりを手際よく配置し、無駄のない推理小説として仕上げている。リーダビリティがあるのだ。萩原浩は「オロロ畑」で知った作家ではあるが、このようにジャンルの守備範囲が異様に幅広い「プロ」な作家になるとは思ってもみなかった。

ラスト1行のインパクトについては、まあ想定の範囲内ではあったので、衝撃とまではいかなかったが、しかし主人公の二人の刑事が醸し出すカタルシスのあとに、哀しみとも恐ろしさともつかない現実を突きつけられた気がしてなんともやるせないところではある。

個人的に、ラストの1行が、
「・・・という噂をきいたんだけど」「長げえよ」
なんちゅう、それまで積み上げてきたお話を台無しにする飛び道具だったら、心底ビックリしたけどねぇ。んなこたぁないか。(笑)

ともあれ、お買い得な1冊である。読むべし、だ。

噂 Book

著者:荻原 浩
販売元:新潮社
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コメント

書き忘れたことがあったのてコメントで追記しますが、主人公となる40代の刑事ですが、モノを知らなすぎでは? 普通あそこまでおっさん化はしてないと思うぞ。世俗若者知識としては、50才代のレベル。だと思うんですが、いかがだろうか?

投稿: 管理人 | 2006年3月10日 (金) 12時54分

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